No.148 「決断」と「判断」
2008(平成20)年1月号掲載
これら2つの言葉をテーマにした出版物は、多いですが、私にとっても会社を経営する上でその定義を明確にしなければいけない重要な言葉だと感じています。
言葉のイメージからは「決断」とは、どことなく命運を掛けた、二者択一的な、究極的な選択基準は実は責任者の勘による、のようなものが浮かび上がります。
一方で、「判断」とは、与えられた情報の中で適切だと思うものを合理的に選択していく作業、のような語感を持っている様に思います。
経営判断なる言葉は、世間一般に流通していますが、経営決断とは、殆ど聞いたことがありません。
決断は、単に決断と単独で使用する方が言葉自体のフィーリングに合うように思います。
必用時に如何にきちんと整備された情報から合理的な選択を行って経営判断するかが肝要だと考えています。
一方で、会社経営を行う立場として、そうそう毎日「社長、ご決断を!」と言われても正直身がもちません。
でも必用な場合は、出来るだけ情報を収集し分別した状態で並べ、最適なものを選びたいものです。
孫子の兵法にある「廟算して勝つ者は、算を得ること多ければなり」の通りで、
勝てる者は、戦う前に勝算が得られるようにあらゆる知恵を絞って多くを考え、準備を怠らないものです。
とは言うものの、かの孫子は、「兵は、拙速なるを聞くも、未だ巧久なるを賭ざるなり」とも申されております。
戦争には、少々まずくても素早く切り上げることはありますが、うまくて長引くなんてことは無いのです。
ビジネスは、スピードが命なのはいうまでもありません。
一度後手に回ればそう易々と挽回できるものではないことばかりです。
一所懸命真面目にモノづくりに向き合っておりますが、そういつもいつも適切な情報を持ち合わせている訳でもありません。
判断材料が揃わないことも多々あります。
そういう時に限って、真面目な社員が真剣な顔して言ってくるんです、「社長、ご決断を!」と。
「決断」を「判断」に変換するプロセス作りが、マネージメントにとって如何に大事か痛切に感じる2008年のお正月です。
皆様は、如何ですか?