No.146 ザ・エンターテインメント
2007(平成19)年8月号掲載
さて、前回から引き継いだこのシングルorダブル。
今回は「ザ・エンターテインメント」という題目で。
日本人は、「欧米諸国」といった表現に特に違和感はないでしょう。
これは、地理的・歴史的な部分において東洋に対する西洋といった対比で使われる場合には、なるほど便利な言い方だと思います。
しかしながら、実際にその「欧米諸国」の中に飛び込んでみると、歴史・文化・産業面等々、とても「欧米諸国」と一言で括れるようなものは何もないことが分かります。
1年の三分の一は海外出張となるこの身、世界中の国を訪ね、世界中のお客様とお会いさせて頂くに当たり、
しみじみと歴史や文化の違いを思い知らされることの何と多いことか。
但し、歴史文化論の類をこのコラムで語るなど工作機械屋の私にはなかなか出来ませんので、極々身近なところで感じたことを・・・。
今回はアメリカについて。
先般、出張でアメリカへ出向いた際、ボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイパークでメジャーリーグを観戦する機会を得ました。
松坂大輔投手が移籍してご存知の方も多いかと思いますが、アメリカでもっとも歴史のある球場です。
試合の開始前からその雰囲気は、正にエンターテイメント。
球場の周りではバンドが楽しげに音楽を奏で、大道芸人がパフォーマンスを披露して盛り上げ、子供たちが楽しそうに走り回っています。
大人たちは観戦前に腹ごしらえ。
名物のホットドックを美味しそうにほおばっています。
殆ど皆がそれぞれにお気に入りのレッドソックスの選手のTシャツやジャンバーを着込み、帽子を被って準備万端状態です。
さて、試合が始まって驚いたのは、球場内に示される選手データの細かさでした。
打者は打率、打点、得点圏打率、過去10試合の打率、投げているピッチャーとの対戦成績等々、投手は防御率、
勝ち負けはもちろん、球速、球種、ストライク数にストライク率まで球場内の掲示板に全て表示されます。
さすが、米国の国技:ベースボール。
本当に皆野球が好きなんだなと感心すると共に、球場内に皆を楽しませるために流されるアナウンス、音楽等、
球団側のファンに楽しんでもらうことに徹している姿と、それを十二分に楽しんでいるファンを見るにつけ、
本当にエンターテイメントの国だなあと強く感じさせられました。
もう一つ驚いたことは、球場に足を運んでいるファンに占める子供(特に女の子)の数が日本とは桁違いに多かったことです。
これなら小さい頃から自然と地元チームに愛着を持つようになり、チームへのサポートが何世代にも渡って継続されるわけですね。
いずれにしろ、野球を通してアメリカのエンターテイメントを強く垣間見た次第です。