No.143 ロシアに強いドイツ 2006(平成18)年10月号掲載


 ドイツが昨年から景気回復を着実にしていると言われて、これで欧州の主だった国々は揃って一段と上昇を始めた感じがします。
その中でもドイツは、東欧諸国は勿論ロシアに強く、ユーロ高にもかかわらず急拡大しており、エネルギーの一部を依存している欧州諸国の中でも抜きんでている様です。

 我国も、石油高で潤っているロシアに遅ればせながらビジネスを伸ばす為、積極的に行動しているのも確かなことでしょう。
しかし、モスクワ迄飛行機で4時間で行けるドイツは、国内の主要都市から直行便が多数行ききしており、デュッセルドルフからも週4便直行便があると聞き、 我国との熱意と実績に大きな開きを感じました。
特にインフラが遅れているロシアにとって発電機等一般産業機器の需要が非常に強く、直近では債権も完済した勢いで、 資金的には安心してビジネスを進めている様です。

 又、19世紀に多くの技能を持ったドイツ人が、ボルガ流域に移住し、第二次世界大戦の時には、シベリアの抑留された人達の3世代目が300万人近くおり、 その人達がドイツへ戻って来ている村では、「ドイツ語を話すロシア系ドイツ人は真面目で良く働き、能力も高い」と南ドイツのユーザーの社長が誉めていました。

 今回シュレーダー首相の後継となったメルケン首相は、旧東ドイツ出身で、ロシア語も堪能であり、通訳なしにプーチン大統領と直接話合えるのが強みです。
選挙の結果、均衡した政治背景を逆手にとって、大同団結、閣僚を1/2に分けて求心力を計り、与党が着実に実績を伸ばしているのです。

 しかし、エネルギー供給をロシアに依存しているドイツを始めとする欧州諸国の状態は、一抹の不安を感じますが、 今やロシアや東欧諸国の市場拡大がドイツ経済を力強くしているのも間違いありません。
ましてや、米国依存度を示す輸出入とも7%前後と小さく、最近住宅関連のバブルがはじけた米国経済の影響を受けずに済む国で、 米国や英国よりもロシアに強いドイツは、ゆっくり景気上昇が続くと言われました。
ロシアに強いドイツの状況に魅力を感じました。