No.142 欧州中小企業訪問 2006(平成18)年7月号掲載


 今回の欧州出張では、グローバル市場で生き残る条件を見出したいと思い、フランス、オランダ、イタリア、イギリスの中小企業で着実に成果をあげている企業を訪問しました。
巡っているうちに、成功するためのいくつかの共通点が見えてきました。

 まず一つは、決して完成品はやらないこと。
やっても絶対必要とされるモジュールコンポーネントに絞り込んでいます。
中小企業にとって大切なのは、いかに在庫を最低限に抑えるか。
今回訪問した企業は、資金を固定させず、回収容易な客先に絞り、常にキャシュフローを良い状態にしていました。

 二つ目は、短納期です。それも3日。
納期は短ければ短いほど喜ばれますが、いくつかの企業が、国も違い業種も違うのに、共通して納期を3日間に設定していたのには、大変驚きました。
スピードが勝負の別れ目であり、5年前に訪れたイタリアのお得意様の工具メーカーも、注文を受けてから3日目に発送する仕組みで急成長していたのを思い出しました。
しかし、このような企業は、ただ単に短納期をしているのではなく、市場調査を徹底して行った上で、仕事の範囲を自分の得意な分野のみで勝負していることです。
それが特殊な材料で難しい加工であればなお条件がよく、お客様にとって絶対必要なものに絞り込んでいるのが特徴です。

 三つ目は、お客様にとって、いつでも相談でき、頼み安い便利屋を自負していることです。
自分が出来ないことは、相手を探し、常に3日という納期に間に合わせる努力をしており、お客様にとって頼りがいがあり、 小回りがきく中小企業であり続けているのです。
それが結果的に強みとなり、価格決定権を持ち、景気に左右されることなく常に仕事が潤沢にあり、利益もしっかり確保しています。

 そして、最後に挙げるとすれば、「若さ」でしょうか。
どの企業もオーナーは40歳前半と、私よりはるかに若く、常に行動的で、あちこち飛び歩いています。
その上、三現主義に徹し、マーケティングに基づいたマネージメントを実行していました。
かといって仕事の鬼というわけでもなく、しっかり休暇をとり、家庭を大切にしており、余裕を持ってビジネスをしているという印象でした。

 何よりも、この「若さ」を羨ましく思うのは、やはり私も歳でしょうか。