No.136 チャイナリスク
2005(平成17)年5月号掲載
反日運動の最中、4月14日から17日にかけて、10年ぶりに北京を訪れることができました。
「第9回CIMT2005」に弊社も初めて出品しており、代理店の社長の要請もあり、その後の中国の発展を肌で感じたい、
そして将来に役立てたいとの思いが背中を押したのでした。
先ず会場を一回りしながら、中国メーカーの成長が著しく、今や台湾や韓国メーカーの製品との違いは、外観上は殆ど遜色なく、
その上ドイツや日本のメーカーを手本にして着実に成長しているのは間違いありません。
一方、北京市内の町並みは、2008年のオリンピック開催を目指し高層建築が建ち並び、急速に先進国の大都市並に変貌しており、首都としての顔を感じさせられました。
泊まったホテルも五星クラスで、設備やサービスも第一級、又一億円級のコンドミニアムが飛ぶように売れていると聞き、びっくりしました。
またお客様と市内のレストランで食事を共にし、帰りは散歩をかねてホテルまで戻りましたが、反日運動の激しさも感じられませんでした。
スターバックスのコーヒーショップでは、日本の若者と変わらないファッションに身を包み、楽しそうに会話をしている様子に報道されている厳しい環境と現実とは余りの違いに驚いた次第でした。
二日間展示会に終日顔を出しましたが、会場の中はもちろん、行き帰りの道でも、街を見学している時も、全く普段と変わりませんでした。
しかし親友の白氏から「日本人と判るような言動や振舞はしないこと。
また日本料理店と判る所や日本大使館等には近づかないように」と注意を受けたのには、些か不安を感じました。
帰国後、オランダ在住の先輩から、改めて欧州から見た日本と中国の関係について警告を受け、反日運動の根の深さと、将来に対する漠然とした不安を再び抱いたのです。
それは中国の歴史教育の中で、1937年から1945年までの間に日本人は3500万人の中国人を殺害したと教えられていると、
中国からオランダに留学している学生から聞かされ、慄然としたとのこと。
その上、戦時賠償もしておらず、経済だけが突出した日本の姿に良い感じを持っていない。
戦争を知らない若い世代は不気味な存在と知らされました。
今やお互いの国が最も必要とする間柄に急速に進んでいる中で、”自分の利”を優先することはできません。
”甘え”も有ってはならず、真実を赤裸々にして認め合い、その上に新しい二国間を築き上げなければならないのです。
その間私達のビジネスを進める上でリスクを覚悟しながら、ウィン・ウィンの成果を実現しなければいけません。
個々の企業が、この困難の解決の鍵は信頼出来る良い中国の友人を持っていることだと先輩から言われ今さらながら白氏との出逢いを感謝しています。