No.132 中国パワーを再確認 2004(平成16)年7月号掲載


 この6月、欧州各国の代理店やユーザーの方々にお会いするのを楽しみに、ドイツのデュッセルドルフで開催されたMETAV見本市に出かけて参りました。
見本市での雰囲気はまずまずで、やっと底打ちし横ばい状態のドイツ市場と列車爆発テロ後のスペインを除けば、 北欧を含め、フランス、イタリアなどは景気が回復しており、特に英国は好景気でポンド高となっていることから、 展示会場に行き交う人々も明るい表情でした。

 ただ、私が面談した人達に景況感を尋ねますと、一様に直近の中国事情と日本の景気の良さを問われるのには閉口しました。
セールスマン達は、ここに来て機械の納期が長くなり、出荷が来年になることにクレームをつけると同時に、 中国市場向け輸出の急拡大が中国及び日本の好景気の原因ではないか、と執拗に聞かれました。
自分がその恩恵から外されていることに、いささか妬んでいるような感じでした。

 しかし、一番の問題は、欧州はもとより、今年4月中旬に訪問した米国でもそうですが、金融状況を一転した金利引き上げムードの原因は、 中国の急成長に伴う原材料の価格急騰と品不足でした。
特に、鉄鋼原料及び製品や石炭を中国が買い占めており、その上石油価格の上昇もあって、 今や世界的にインフレ感が急速に出ており、欧州も埒外ではないのです。

ユーロ高も欧州製品を売りにくくしている要因の一つですが、一方で欧州市場の景気回復が遅々として進まず、 欧州メーカーのトップ達は好調な中国市場や日本市場への売り込みに熱心になり、入れ替わり立ち替わり質問を浴びせてくる始末。

 これからも、中国パワーが世界に極めて大きな影響を与えており、中国抜きには考えられなくなってきていることは間違いありません。
2008年オリンピック、2010年万博と、二大行事を控え、中国国内の社会基盤整備、 特に交通システム、電力、水などの重要インフラは是非とも達成したいという意地が、バブル状態を生み出しているのでしょう。

 最近では、金融引締めや電力不足、水不足など、次々と“ひずみ”が表面化し、当面成長の伸びは抑えられるでしょう。
でも基本的に、上昇圧力が強く、それが世界の状況を変える「力」になっていることを、十分に承知しておかねばなりません。