No.130 インフレとデフレの共存
2004(平成16)年3月号掲載
最近、国内景況は急速に変化し、一部の業界ではブームと思われるような動きが出てきました。
例えば、デジタル家電の中のフラットパネルや携帯電話、ノート型パソコンなどに使われる半導体などは、この2〜3ヶ月で生産が倍増しています。
また需要が急増し、その殆どが中国向けの屑鉄価格も、昨年1年で4倍。
それを運ぶばら積み船も、瀬戸内海に面した中小造船工場は、受注満杯でフル操業。
さらに鋳造工場は、その船向けエンジン用鋳物の受注で、3年先まで埋まるとも―。
こんな影響からか、今年に入り鋼材や鋳物をはじめ、素材・機械・電気などキーデバイスが軒並み、品不足で納期が延び価格が上昇してきました。
このようにモノが急速にタイトになり、価格が急騰の原因の一つが、中国市場の急拡大です。
2008年の五輪、2010年の万博までは、この騰勢が続くとも言われ、巨大な生産基地と消費市場の両立・共存で動き始めた中国は、
わが国にとって最も大きな影響をもたらしましょう。
他方、今まで最大の市場だった米国は、相変らず消費意欲が旺盛ながら、失業率がなかなか下がらず、双子の赤字も史上最高。
さらに米国大統領選挙の影響か、ドル安も無視できず、つねに円高による輸出低下も予測しなければなりません。
また、好況で有卦に入る我が国のデジタル家電や輸出を主力とした企業と関連業界、そして自動車関連企業などの大企業とそれらの関連業界はともかく、
地方の企業、それも中小企業には、まだまだ十分に陽が当らず、相変らずその日暮しの域を出てはいないようです。
こんな景況のなかで国内も、中国や東南アジアでも、需要増と供給不足、供給超過と需要減などの景況の二極化と斑模様になって、表面化。
まさにインフレとデフレとの共存現象になっています。
私達は今、こんな経験したことのない状況の中で、企業の経営を強いられています。
生き残りをかける私達、中小企業にとって、何を「コア」にするのかを直ちに決断し、これを基本にして、
自社だけのオンリーワンなオリジナル商品を創り、粘り強いマネジメントをすることが今こそ、求められている時と思います。