No.124 日本に物づくりを残せ 2003(平成15)年3月号掲載


 この2月、久しぶりに大賀会長が来社、今回地域結集型共同研究事業で開発した 「金属光造形加工機」の実験をつぶさに見たあと、 全社員を前に「日本に物づくりを残すことを目指すのが、我々マツウラの使命」と話されました。

 さて、日本の物づくりが実力をなくしてきたのは、1980年代後半からの、 グローバリズムが激流となって襲い始めてからでしょうか。
以来日本のキャッチアップ型製造業の弱点を突かれ、高コスト・横並び体質などの結果として、 国際競争力を失い物づくりの現場が、みるみる衰えだしたのでしょう。
これらが、毎年30,000人を超える自殺者の遠因でもあり、また工業高校卒の就職率が5〜60%しかならず、 不安定な雇用状況を作りだしているのが現実です。

 欧米先進国型産業をモデルにした、キャッチアップ型産業に徹した日本の物づくりは、 改良改善を生産技術で支えて成長発展してきた産業に、日本独自の技術・技能とアイデアで味付けしてきたもの。
それが、いとも簡単に流出・移転するなどとは、日本の誰もが思いもしませんでした。
また成功体験から抜け出せない日本人や日本企業の体質も、物づくりの現場の実力をなくしてきたのでしょう。
その上、中国の「世界工場化」に乗り遅れまいと、利益優先の経営マインドが、 日本の物づくりの空洞化に拍車をかけ、ますます先行き不透明にしてきたことは、間違いありません。

 今や「チャイナプライス」が、世界の市場を席巻しています。
このチャイナプライスのコスト競争に勝つために、私達は今のデフレ状況を逆手にとり、 彼らの出来ない方法で採算が取れ、かつ雇用を守る「新しい日本の物づくり」を創造しなければなりません。

 大賀会長の話された「日本の英知を結集して、物づくりを残すことが、私達の使命である」という言葉の重要性を、 新ためて再確認した私達マツウラ。
私達は心して、大賀会長の言葉をテコにし、日本の新しい物づくりを一生懸命やりとげなければなるまいと、 決意も新たに致しました。