No.123 歴史に学ぶこと
2003(平成15)年1月号掲載
21世紀初頭の今、世界の潮流は、新たな産業革命の時代に入ったようです。
19〜20世紀の産業革命は、イギリスの蒸気機関発明に端を初したエネルギー革命でした。
以後、内燃機関から電力・原子力など多様な動力源によって、欧州から全世界へ発展しました。
20世紀後半には、情報化・エレクトロニクス化・サービス化、公害や環境問題など、革新的な問題が続出してきました。
しかし、20世紀末から21世紀にかけて、エネルギー革命を原点としたオールドエコノミーから、
新しいニューエコノミーへの移行を背景に、産業構造が変革しようとしています。
翻って、日本の産業も戦後50年余りは、経済復興期から高度成長期において、
石炭・繊維・鉄鋼・造船・化学そして自動車・家電などのエネルギー多消費型の重化学工業や耐久消費財の製造業が、産業のリーダーでした。
が1980年代になり、技術革新の「新しいウネリ」が生じ、マイクロエレクトロニクス革命、
すなわち高度情報化の推進役であるエレクトロニクス産業や、広義の情報産業がリーダーになりつつあります。
さらに既存産業はグローバル経済化のなかで、海外展開を急速に進め特に中国への拠点作りは、目を見張ります。
このように世紀ベースの構造変化は、世界レベルの「技術革新」や「物づくり」に、大きな衝撃を与えてきました。
英国が端初だった産業革命は、またたく間に欧州全体に伝播しましたし、
米国のT型フォードに代表される物づくりも、革命的変化をもたらしました。
この変化には、物づくりの基礎となる工作機械も、大きくかかわってきました。
そして、先進国の成熟化に伴い衰退し、特徴ある機種に拘ったメーカーだけが生き残ったのです。
苦悩しつづける今の日本の姿は、正に欧米の成熟化した先進国家や産業構造に生き写しのようです。
そして特に考えなければならないのは、一過性でなく構造的な変革、すなわち新しい産業革命に入っていることでしょう。
先輩諸国がなめてきた辛酸を過去の歴史に学ぶなかで、私達はその方向性を見つける大事な時、
それが今だと思う新しい年の初めです。