No.118 イノベーション再考 2002(平成14)年3月号掲載


 先日、松下電器産業の元副社長で、高知工科大の水野博之副学長にお目にかかる機会がありました。
水野先生は、このイノベーションについて
「皆さんは、全く新しい創造的革新や技術をイノベーションだと思っていませんか。 そんなに難しく大袈裟に考えないでほしいですね。 それこそ、既存の技術やソフト等をいろいろ組み合わせることによって、 如何に新しい市場を創造することが出来るか、それが、イノベーションの原点であり、 語源の正しい解釈なのです」と、説明されました。

 その実例として、松下幸之助翁が創業時に開発された「二股ソケット」や、 ラジオとカセットを組み合わせた「ラジカセ」をあげ、私達の思い込みで進めている商品開発に警鐘を鳴らされました。
しかし、私達は常に先端分野を走らねばと、無理に無理を重ねて、今日まで走り続けてきました。
先日、水野先生に「イノベーション」の本当の意味を知らされて、目から鱗の落ちる思いでした。

 改めて、肩の力を抜いて商品開発を再考し、社会に役く立つ機械メーカーとして生き残らねばと再確認した次第です。
特に、昨年からお引き受けした福井県鉄工業協同組合連合会は、そのメンバー230社強の殆どが中小企業です。
そんな中で、中国の世界工場化の波に洗われ、生き残りをかけた「オンリーワン商品」を持たねばと必死でした。
その矢先に、水野先生の言葉は、強い光で道筋を指し示された思いで、身震いするほどの興奮を禁じえませんでした。

 このように、メンバーが持っているコア技術や素材を磨きあげ、新しい組み合せへ挑戦することこそが、 企業が生き残るキーワードだと思います。
改めてイノベーションを考えた時、「既存の技術を新しく組み合わせる」ことが、 私達に元気と勇気を与えてくれるでしょう。
イノベーション再考は、革新的ビジネス展開の糸口。
私はそんな気がします。