No.115 「24×7」
2001(平成13)年9月号掲載
アメリカのカリフォルニア・シリコンバレーは、半導体を中心にしたベンチャー企業が、覇を競っています。
その一角にあるスタンフォード大学で、研究を終了された友人と先日、半年ぶりに会うことができました。
その時、話題になったのが、日米のベンチャービジネスの相違点。
特に日本のベンチャー起業は、何故うまく育たないかということでした。
米国の現地で、いろいろな方に会い、実際に米企業を見聞し実体感した友人は
「今の日本では、ベンチャービジネスは成功しないのではないか」との話しでした。
それは、米国のようにインフラが整備され、企業側も投資家も社会も全てが、
起業家を育成しようという気構えがあっても、起業して大成功するのが1%位、10%がまあまあ、残り90%は成功せず――。
日本はインフラも不備だし、投資家も安定重視で逃げ腰、社会も新参者に冷たい対応。
だが一番の問題は、燃えるような情熱と、何としてでもやり抜くんだという執念と意欲が、
今の豊かな日本ゆえに全く見られないから、というものです。
米国では、ベンチャー企業におけるビジネスプランと、リーダーを評価するのに「24×7」のルールがあるそうです。
1日24時間1週7日間を、寝食を忘れて燃えるような情熱で、新しいビジネスに取り組むかを冷静に評価するルールです。
土日はゆっくり休みたい、仕事より家庭を大事にして、ペイはより多く――。
今風のこんな若者層、いや日本人像を見ますと、日本で新しい起業が生まれ、育たないことが理解できます。
かって日本は、がむしゃらなパワーで敗戦後から、1980年代まで挑戦してきました。
何としてでも、やり抜くんだという情熱、追究心と欲望の中から、新しいビジネスが生まれてきました。
はたして、これからの日本にソニーやホンダに代表される、起業家精神とパワーが復活するのか、祈るような気持ちです。