No.113 「閉塞感の打破は今」
2001(平成13)年5月号掲載
「銀座へ行くと楽しそうに買物をしている。今年のGWも、国内海外とも、日本人で一杯。どこの国が、危機で不景気なんだ。」
5月、3年ぶりに北陸でオーケストラの指揮をするために訪れた、当社の大賀会長(ソニー株式会社取締役・取締役会議長)が、
こんな感想を話されていました。
そういえば、今年のGWでは石川や福井の温泉郷は久しぶりに宿泊客が増え、国内航空便などは過去最高。
JRの利用も2年ぶりの増加と、活況でした。
なのに相変わらず「景気が悪い」「日本は危機だ」との声が、一向にやみません。
これは、どこかが可笑しいのではないか。実態経済や私達が肌で感じることと、報道や溢れるばかりの情報によって伝播されていることが、
どこかで狂っているのではないか。
どこかにミスマッチがありはしないか、と思います。
はや1,400兆円とも数えられる個人の金融資産を日本人が持ち、世界第2位のGNPを確保の日本。
不景気と言われながら、街に失業者が溢れてもいない。
どころか、人々は相変わらず豊かさを競ってさえいるようです。
それなのに「景気が悪い」「不景気だ」といわれるのは、「ぜいたくな悲観」に陥っているのではないか――。
まさに日本中の一般人も政治家も、官僚もビジネスマンなど全ての日本人が抱いている、閉塞感からくる「自信喪失」から、
来ているように思うのです。
確かに私達の目の前にある商品はデフレ現象になり、日本の物づくり屋としては、価格は勿論、お客様が欲している物を、
提供してこなかった点は謙虚に反省せねばならないでしょう。
だからこそ、日本人の私達はコスト競争に巻き込まれない、お客様の欲している商品を、「自信を持って作り出す」ことに、
全力投球することが、今こそ何より大事であると思います。
日本人が自信を持って、この閉塞感の打破に「日本の物作り」で立ち上がるのは、今だと私は思っています。