No.108 勢いづくメタフ2000展の背景 2000(平成12)年7月号掲載


 ドイツで開催のメタフ2000展と、オランダ、デンマーク、スウェーデン、イギリスなど欧州8ヵ国を、6月から7月初めにかけ訪問しました。
特に今回は、昨年1月から動き出したヨーロッパの通貨の統合が、欧州の産業や経済、そして企業活動に、 どのように具現化されているかを体験し検証したかったからです。

 メタフ2000展は、ドイツ工作機械工業会が主催の工作機械・自動化機器展で6月27日から7月1日までデュッセルドルフの国際展示場で開催。
今回1,600余社が出展した同展は、過去最大だった1992展の規模に次ぐもので、工作機械生産国・世界第2位のドイツ勢の実力が、 一際大きく感じられました。
ことにデッケル・マホ・ギルディマイスタ(DMG)社を筆頭にした、ドイツメーカー各社の積極的な販売戦略は、まさにユーロ安、 ドイツマルク安の追い風をうけて、勢いは留まることを知らぬ、極めて強大なものでした。

 欧州の単一通貨、ユーロが昨年初めのスタートから、1年半。
いらい対ドルで20%強、対円で30%強のユーロ安を現出し、これが見えない無言の武器となって、物価を安定させインフレ現象も見られない、 素晴らしい市場を形成しています。
そしてドイツは勿論、オランダでもデンマークやスウェーデンなど北欧諸国でも、産業や経済、そして日常の消費市場で、 完璧に機能しはじめてきました。

 ユーロが出現する以前は、欧州主要15ヵ国を何の消費もせず通過するだけで、100の価値ある通貨が、通貨の交換の手数料だけで、 48に目減りしたことが、ユーロ出現の今、100そのままの通貨価値として、ユーロ圏で通用するという現実。
その実力が、市場を作り出したことでも理解できます。
これらが相乗効果となって、ユーロ圏の活性化につながっているのでしょう。
さらにユーロ圏の中核ドイツの東方にある、膨大な東欧市場を組み入れることも視野にした、 彼らの行動は世界一の市場と実力をもつアメリカ市場をも凌駕するほどの勢いとなるような気がします。

 メタフ2000展で見た、ドイツ勢を初めとする巨大な力には、こんな見えない事実を背景にして、ユーロ圏がヨーロッパ全体を牽引し、 運営されているように思えてなりませんでした。