No.107 メイドインからデザインバイへ 2000(平成12)年5月号掲載


 この連休をはさんだ米国出張で、豊かさと先進性を改めて再認識させられました。
特に情報化社会の急速な進展は、今までの常識を超えて、全く違った状況が次々と生まれています。

 サンフランシスコ・ベイ地域では、毎日60人位づづミリオネアーが誕生していると言われていますし、 また情報通信関連を主としたベンチャービジネスが、数多く生まれたり消えたりしています。
それらを裏付けるように、移動したどの航空便も、ほぼ満席。
レストランも大繁盛、そして高級な欧州車やスポーツカーも数多く見られるのは、米国経済の豊かさと底力そのものでしょう。

 その中で、今回の大きな収穫は、「物作りの現場では、“メイドインからデザインバイへ”と急速に移りつつあるから、 この点に注目し一日も早く対応されては」との、シカゴ駐在の親友からの言葉でした。
今や情報革命によるグローバル化は、単一市場化に伴う一物一価の原則によって、製造業は地球レベルで生産拠点を移しています。
特にコストワイズが、猛烈な勢いで全面的に変化し続けています。
ですから、これからの物作りは、IT技術をテコとして世界のどこでも容易になってきており、品質的にも、 そこそこのものが供給可能になっています。
例えば、「ナイキ」ブランドの急成長は、商品企画が優れ、それらを生産しているのがアジアである事は、ご存知のとおりです。
また最近話題の自動車デザイナー、アンヌ・アセンシオ女史は、ルノー時代に、「ツウィンゴ」等の車をヒットさせ、 今度はGMに最高待遇で引き抜かれて注目されているのは、正に「メイドインからデザインアウトへ」を地で行く、象徴的な出来事でしょう。

 どうやら我が業界も、品質や機能が大切なのは勿論、お客様のニーズやウォンツを如何に商品化するか。
コンセプトが、最重要になった事は間違いないようです。
21世紀に夢を実現させる、企業の真髄を教えられた友人に、改めて感謝している昨日今日です。