No.105 過去を超えた日本
2000(平成12)年1月号掲載
昨年末、米国に出張した折り、日本に対する見方が変化しているのに気付かされました。
それは「住友銀行とさくら銀行」との合併への決断です。
これまでの東京銀行と三菱銀行の合併、そして第一勧業銀行、富士銀行、
日本興業銀行の3行統合とは異なった反応を示しています。
「日本は本当に改革を決意し行動しだした」とは、米国でお会いした殆どの方々からの言葉です。
それは明治以来の主流であり、また戦後営々として築き上げてきた大企業の根底に脈々と流れてきた
三井、三菱、住友等の旧財閥の影が消えつつあり、またそれを超えなければ変わらない事に、
日本人が気付いたと判断したからでしょう。
昨年迄、「日本の動きは遅い」、そして「うまく行くのか」と言い続けてきた米国が、
今回の大きな金融再編という変革によって、我国の見方を変えたのです。
その結果が、日本の株式市場への積極的な投資であり、
今や外人買いが8兆円にものぼっているという事実が証明しています。
しかし日本人のほうが我が国の変化に半信半疑であり、
ひょっとすると気付いていないのかもしれませんし、また、
私たちは過去の成功と栄光からなかなか逃れられないのかもしれません。
日本の中流意識を支えている、海外からみれば新社会主義といわれる平等主義が、
横並び意識の強い私達になんとなく安心感を持たせているから、
いや変化したくないからではないでしょうか。
まだ一部にしか見えていませんが、地下水脈ではとうとうと流れが、
大きく変化していることは間違いないところです。
情報改革はグローバル化を一段と早めています。
そのスピードは1年で7年も進むといわれるドッグイヤーと言われるほど、
これからは80年代の6〜7倍の速さで変化していくと言われており、
様々な分野で想像も出来ないような変わり方をしています。
それがソフトバンク等のネットワーク関連企業の急成長であり、
株式市場さえ変えようとしているのも事実です。
今年はちょうど世紀の変わり目の年、ミレニアムです。
もし米国の見方が正しいとしたならば、その変化を先取りし、
自らがリーダーとして動き出すことが大切です。
さあ、今年は実り多い年として信じ、行動しようではありませんか。