No.159 宇宙へ行った和紙繊維ソックス 2011(平成23)年1月号掲載


 福井は日本のドマン中「日本のヘソ福井」第159回目は「宇宙へ行った和紙繊維ソックス」の話です。

 昨年4月5日に打ち上げに成功したスペースシャトルに搭乗した山崎直子宇宙飛行士の宇宙滞在用衣服として和紙繊維で作られたソックスが採用され宇宙空間で使用されました。
 そのソックスを製作しているのは株式会社キュアテックスの福井工場です。
 今まで百貨店などの物産展で販売していましたが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の公募に応募して採用されたものです。
 山崎飛行士が帰還後のインタビューでもこのソックスの効用について語っていました。
 この福井工場は20人と小さな町工場ですが、その技術がNASAにも認められたわけです。
 また先日のチリ鉱山事故の救済活動においても、JAXAより様々な肌着や宇宙食の他にこのソックスも送られ注目を集めています。

 和紙繊維は、和紙の持つ抗菌性、消臭性、調湿性、保水性の効果をそのまま持ち続ける天然繊維です。
 製作の基本は、和紙を1〜2mmのテープに裁断して右に数百回、左に数百回、そして再度右に数百回撚ることで柔らかく、強い糸が出来ます。
 最終の乾燥作業は、天日干しによる自然乾燥方法が取られています。
 このように和紙繊維の作り方、染色方法など世界初のことばかりで、様々な失敗を繰り返し製品化には10年近くかかっています。価格は1足2,100円です。
 福井県では越前和紙の里パピルス館で購入出来ますので、その効用を是非実感してみて下さい。
 また和紙の持つ特性を活かしたいと様々な分野から引き合いがあり、衣類以外の分野での応用が検討されています。

 福井の和紙という伝統技法が世界最先端の航空宇宙分野で使われている。
 福井のモノづくりの可能性に希望が持てる話題です。