No.157 陽子線がん治療設備
2010(平成22)年7月号掲載
福井は日本のドマン中「日本のヘソ福井」第157回目は「陽子線がん治療設備」の話です。
福井県には14基の原子力発電炉があり、その特性を活かしてエネルギー関連技術研究施設として若狭湾エネルギー研究センターがあります。
この施設では様々な研究が行なわれ、その一つとして陽子線がん治療研究が行なわれており成果を上げてきました。
その成果を活かし、平成22年度に日本海側唯一の「福井県陽子線がん治療センター(仮称)」が福井県立病院に開設されます。
陽子線とは、水素原子から電子を取り除いたものが陽子で、その陽子を加速器により高速に加速した放射線のことです。
陽子線は、身体の表面近くで吸収される放射量が少なく、がん病巣のみを集中的に破壊することが出来るために、陽子線治療では従来のX線治療に比べて、副作用が少なく、治療効果は優れています。
治療では、患者はベットテーブルに固定されて数分間患部に向けて陽子線が照射されるのみで、概ね1ヶ月程度で毎日30分程度の治療で終わります。
痛みもなく、麻酔も必要なく、患者はただ動かず寝ているだけで終わる治療です。
また陽子線治療は、先進医療として許可されていますが、保険適応外で治療代は約300万円かかるため、生命保険で支払う仕組みが整いつつあります。
米国でこの治療を受けた場合の費用は1,000万円で、福井の300万円は世界的にみても安いと言えます。
また福井は、風光明媚な観光地や温泉、また様々な食材に恵まれており、国内だけでなく、海外からの治療の為の長期滞在を可能にしています。
福井が世界に誇る医療技術は、世界から人を呼ぶ産業に育つ可能性を秘めています。