No.156 黒体石鹸 2010(平成22)年4月号掲載


 福井は日本のドマン中「日本のヘソ福井」第156回目は「黒体石鹸」の話です。

 「黒体」とは、全ての波長の輻射を完全に吸収すると仮想された物体のことです。
 黒体の理論は、既に100年以上前にロシアの物理学者キルヒホッフによって体系づけられていましたが、近年になってようやくほぼ近いものが作られるようになりました。
 その魅力は、吸収分解/ 電磁波遮断/ マイナスイオン発生/ 熟成効果/ 温熱効果/ 放電効果と広範囲です。

 この「黒体」を使った「黒体石鹸」が、福井県旧今立町の酒井弥(さかいみつる)博士が考案し、実用化されています。
 セラミック、粘土、有機物などの混合物を無酸化の状態で還元焼成して作られた黒体を微粒子状の粉末にして石鹸に混練したものが黒体石鹸です。
 黒体に含まれている金属内の自由電子が活発に動き回り、人の生体組織に働きかけ、肌の奥に眠るメラニンを取り除き美白の肌を作ります。
 名称は「花鳥の使者 華」と美しいものです。

 考案者の酒井博士は、昭和11年に福井県で生まれ、大阪大学理学部大学院修士課程を卒業。そして昭和41年にはカリフォルニア大学留学、昭和45年にはアルバータ大学の主任研究員となりました。
 昭和51年にご実家の花筐酒造株式会社代表取締役に就任、昭和52年に酒井理化学研究所を主宰され、福井、金沢、東京、熊本、ロサンゼルス、モスクワに研究所を立ち上げ、様々な研究をされました。
 しかし、平成16年68歳で亡くなられました。化学の研究は、大手企業や大学の研究所でしか出来ないとの思いがありましたが、福井の地で生活に密着した研究をされた酒井博士の功績を福井県人として誇りに思います。