会長 松浦 正則


【急展開するアジア化】

 リーマンショックがきっかけでグローバル化に伴う単一市場化への力が一段と強く、早くなっており世界中が白紙状態に追い込まれてしまいました。
 改めて、各国が一斉に自国の絶対の強みを見つけだし、NO.1を目指して強化を急いでおり、大変な競争時代に突入しているのです。
 中でも今回の不況に対し、いち早く対策を打ち出し実行したのは中国で、今や世界から賞賛されています。
 その結果は、北京詣でが引きもきらず、オリンピックを成功させたことで、国民の意識向上が大変な力になっています。
 10年前は世界の生産基地を目指し輸出第一で所得向上を実現しました。
 今や中国は、内需拡大に転換し、輸出を維持しながら、全ての特例を廃止、遂に今年第2四半期のGDPでは日本を抜き米国についで第2位となり、その力を背景に世界中で資源獲得を目指して急拡大しつづけているのです。

 我が国も中国の影響を受け、大企業はいち早く市場に近い所に生産基地を確保、日本での拠点を縮小して生き残りをかけているのです。
 その例として日産マーチに見られる本格的な逆輸入が始まりました。
 また部品業界では、中小企業の段階でも日本での生産を諦めて早々とアジアの市場にコンタクトし、価格競争力を獲得しているのを見て驚いた次第です。
 特に半導体業界の景気サイクルは大きな波があり、サプライヤーも含めて仕事が急増するはずであったのですが、アジア全体のモノづくり網にアクセス出来るIT化が容易になり、ビジュアルな動画で情報を得ることが出来、そして、直ちに拠点に飛んで現地で現物を確認し、30〜40%の価格ダウンに対応しながらジャスト・イン・タイムで業績を上げているのです。
 これからは、距離ではなく、時間が決め手なのです。

 大企業だけではなく、中小企業のモノづくり現場も急速にアジア化が進んで、日本市場が縮小している我国は、早晩大変厳しい状況になるのではと危惧しております。
 日本丸はどこへ行けば良いのか誰も答えてくれません。
 日本の円相場の流れ、沖縄普天間基地に見られる日米のねじれ現象、そして世界における日本の孤立化は、何時になったら解決するのか、先が読めない危険な経済領域に入り、日本と言う文字がかすんで来ているのではないでしょうか。
 でも明日を信じて自らが行動し、グローバル化/アジア化の中で頑張って成果を出すことが大切な使命です。


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