品質工学社内報告会の開催


 マツウラでは、毎年品質工学社内報告会を開催しており、7月23日(木)に開催しました。
 目的は、社内における品質工学への取り組みの総括と報告、問題解決で得られた経験や知見の共有化と全社的なスキルアップ、そして社内問題解決に向けた提案に対する意見交換です。

 松浦会長、松浦社長、そして品質工学の指導をお願いしている日本企画協会参事の矢野宏氏も出席され、報告と活発な議論が行われました。
 第1部は、6月に行われた第17回品質工学研究発表大会でマツウラが発表した4件(技術本部2件、生産本部2件)が報告され、発表会での臨場感が伝わりました。
 第2部は、現在取り組んでいる問題解決として技術本部から「MTシステムによる主軸寿命診断と取り組みと進捗報告」、「サーボパラメータ調整への適応と進捗報告」、生産本部から「チャッキング方法改善へのバーチャル設計適応」、「切削条件の最適化」の発表がありました。以前は技術関連のみの発表でしたが、生産現場での取り組みも始まり、品質工学が全社に浸透しつつあります。



松浦会長のコメント
「現場サイドまで浸透してきていることは嬉しい。大昭和精機社長より “マツウラの機械は当社の加工をするのに最適な機械である” との言葉を頂いた。この言葉からも分かるように、マツウラをお客様から魅力のある企業へ変革させていくのに品質工学は重要であると思う」

松浦社長のコメント
「社会的に品質工学の分野で、マツウラの評価は高くなっている。品質工学は良いか悪いかを早く判断する手法なので、すぐに効果が出せる。これからは、益々企業の実力差が出てくる時代となるので、ライバルに大差をつけるぐらいの勢いで取り組んでほしい」

天谷技術本部長の挨拶
「品質工学を初めて10年となり、製造にも浸透しつつある。長い10年であったが効果が出てきて、かなりマツウラ社内でも盛り上がりつつある。結果を出して会社に貢献することが最終目的で、今やっていることが良いか悪いかの判断できることが品質工学の良いところであるので、更に取り組みを進めたい」


特別寄稿

品質工学を活用する松浦機械製作所 (財)日本規格協会参事 矢野宏 氏

 多くのメディアで松浦機械製作所の品質工学の成果が報道され始めている。
 品質工学は、適用が難しいと、しばしば言われる。事実松浦機械製作所においても、1990年代の末から適用を開始し、著しい成果を上げて、一挙に名前を上げた。
 しかし、品質工学を活用している企業でも初期に大きな成果を出して、その後急速に後退してしまう企業はいくらでもある。
 同社の場合も同じように、初期の成果がそのまま上昇へとはつながらなかった。それでも活動を停止せずに継続できたのは、経営者がその本領を理解していたことが大きい。
 しかし、いくら上の方で理解していたといっても、それで継続できる訳ではない。そのために、初期の成果を上げた担当者が強烈な苦しみを味わうことになる。
 そこで問題なのは中間管理職である。これら管理者は、日々の無駄なトラブル対応で追われている。その馬鹿々しさに気付く管理者が現れた時が次の発展の道筋である。
 これはどの会社でも同じことである。同社では技術本部長がこの役割をしている。品質工学は、本来開発の源流で適用してこそ本当に効果が上がるものである。
 多くの事例は現場のトラブル対応に適用するが、それは誤りである。現在では、このような意味で第3期としての活動がようやく学会で注目を浴びるようになった。
 同社は、技術本部長が先頭に立って研究発表大会で発表し、その他の管理者もこれに続き始めている。これがどこまで続くかで、この会社の発展を占うことができるはずである。


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