こんなユーザー No.118

ダイカスト金型製作技術で差別化を図る株式会社ムカワ
株式会社ムカワ


株式会社ムカワの概要

所在地〒224-0044 神奈川県横浜市都筑区川向町881−4
 TEL
 FAX
 Email
045-475-1353
045-475-1356
mukawa@qb3.so-net.ne.jp
代表者代表取締役 武川 千里 氏
創 業平成9年10月
設 立平成18年10月
従業員5名
事業内容ダイカスト金型設計・製作(小物から800tクラスまで)

株式会社ムカワ
▲工場


 今回のこんなユーザーは、新横浜駅から車で20分ほど北西にある株式会社ムカワを取材しました。
 取材には社長の武川千里氏と工場長の大石祐一氏に対応頂きました。武川社長は大手電機メーカーで生産管理業務を経験された後に、金型製作の会社に移られました。20年間その会社で金型製作の業務に携わり平成9年に48歳で独立されました。
 「5人の子供に恵まれましたが、60 歳で定年退職するのではなく、健康でいられる限り仕事をしたいと独立しました。48歳と遅い独立でリスクはありましたが、周りの人々に助けられ今日まで何とか続けられています。もし若くして独立していれば人脈もなく又、経験不足にて失敗していたと思います」と武川社長。


▲武川千里 社長

ダイカスト金型に特化

 「独立当時は、金型製作をやりたかったが資金回収に時間がかかるために、以前から付き合っていた会社より部品加工の仕事を頂き経営を行っていました。2年目からCAD/CAM などの設備をそろえ、ようやく金型製作を行えるようになりました。金型は部品加工に比べ付加価値を付けられるので金型に特化した会社にしたかった」と武川社長。

 神奈川県下にはダイカストメーカーが以前には多数あり、その会社から金型製作の仕事を請けていました。しかし、現在ダイカストメーカーは神奈川県下では少なくなり、東北など地方に移っています。
 しかし、地方にダイカスト工場が移っても同社の高い技術力により金型製作の依頼は確保されています。
 「ダイカストも技術進歩が起こっており、携帯電話など薄肉ものが増えています。また材料もアルミ材やマグネシウムなどに変わっています。材料の性質を知らないと金型設計はできません。また金型材は硬度が上がり非常に切削が難しくなっています。しかし当社直彫りによる金型製作のノウハウがあり、品質・納期に絶対の自信を持っています」と技術力を説明する武川社長。

お客様との信頼関係の構築

 「客先の図面も多種多様です。最終製品の図面のみで金型図面がない場合、金型の勾配や精度が記載されていない場合、全てきっちりデータが記載されている場合など様々です。しかし、全てのお客様に対応できる体制を取っています。当社では完成した金型を使ってテスト的にダイカストを作ることは出来ないので、完璧な金型を作り出荷することを目標としています。もし手直しがあれば採算が合いません。問題はダイカストを作る時に材料が正確に流れるかどうかです。」と武川社長。

 同社は、平成17 年に現住所に新工場を建設しています。この工場は壁、床、天井と断熱材を施した断熱工場とし、季節や気候の変化でも温度を一定に保ち高精度な金型製作ができる環境を整備しています。
 設備はマシニングセンタ5台、NC放電加工機1台、平面研削盤1台、そして3次元CAD/CAM 3台を4名で稼働させています。
 「当社では分業はせず、全ての社員が全部の設備を動かすことを目標に教育をしています。責任と自信を持たせることで人材育成と金型の品質向上を実現してきました」と武川社長。

更なる高精度を目指し

 平成17年12月にマツウラの立形マシニングセンタ「MC-800VG2」を設備。同機は主軸回転数が20,000 回転と高速仕様です。
 「金型製作に更なる生産性向上と微細形状を加工するために小径工具の使用が必要となりました。これらの問題を解決する為にマツウラの高速マシニングセンタを導入しました。高速加工は今までの加工技術とは異なり未知の領域でした。しかしマツウラのエンジニアの方々のサポートのお陰で現在では直径0.3 oのボールエンドミルも使用出来るまでになりました」と武川社長。

 平成19 年12 月に立形マシニングセンタ「V.Plus-550」を設備。
 「MC-800VG2で金型のキャビ・コアは高精度で製作できる技術を取得しましたが、直彫りで切削できない部分は電極を作り放電加工での製作となります。高精度な電極製作目的で V.Plus-550 を設備しました。マツウラのマシニングセンタにより当社の加工技術は大きく変わりました」と武川社長。

▲MC-800VG2▲V.Plus-550


企業規模でなく技術力で勝負

 「これ以上会社を大きくするつもりはありません。金型が全て日本から無くなることはないので技術力で勝負する会社にしたいと思っています。現在長男も入社し現場で仕事をしています。将来景気は良くないと予想していますが、どんな環境下でも彼らが自分達で経営していける形を作っておきたいと考えています。金型は更なる高精度を要求され、金型成形された部品が直接使用できる時代が来ると予想しています。それに備えて新しい技術を今以上に挑戦していきたい」と将来を語る武川社長の言葉です。

 アルミやマグネシウムが作られるダイカスト部品は、その機能性から機器の基幹部品として使用されることが多く重要部品となります。同社の取材を通じて、ダイカスト金型製作に日本企業の技術的優位性があると感じました。


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