こんなユーザー No.117

和歌山県で最先端加工の先駆を走る
有限会社ハヤシ精機


有限会社ハヤシ精機

所在地〒641−0006 和歌山県和歌山市中島528−6
 TEL
 FAX
 URL
 Email
073-474-0102
073-474-0103
http://www.hayashiseiki.com/
info@hayashiseiki.com
代表者代表取締役 林 隆夫 氏
設 立平成2年5月
従業員6名
事業内容液晶・半導体製造装置部品、及び300mm ウエハー搬送システムAMHS(Automated MaterialHandling System)部品。
インクジェット機器部品・写真現像処理機器部品。ハイテク産業機械装置部品、その他精密部品。

有限会社ハヤシ精機
▲工場全景


 今回のこんなユーザーは、和歌山駅から車で南へ10分ほどにある有限会社ハヤシ精機を取材しました。
 取材には社長の林隆夫氏に対応頂きました。林社長は、子供の頃工場内で職人が扱う旋盤の音を聞いて育ち、学生時代には実習で先生から旋盤バイトの研磨を頼まれる程の技能を持っていたとのことです。
 「入社当時、古いベルトがけ旋盤を使っていましたが、職人に負けたくないとの気持ちで、日々創意工夫を行い技術を磨きました。そのことが自分に原点になっています」と林社長。


▲林隆夫 社長


図面から重要ポイントを読み取る確かな技術

 昭和41年に、設計から製作まで林社長一人でこなし高速ニットマシンの製造を行なっていました。
 「3ヶ月間お客様のところへ毎日通い、お客様のご要望を詳細に聞き設計・製作を行なったが、上手く行かない。機械は作れるが、実際に糸を通して試編みすると思うように行かない。全ての機械にノウハウがあると、その時気付き、ものづくりの奥深さと面白みを体感しました。それ以後もあらゆる部品の製作を行なってきましたが、これらの経験から、設計の重要ポイントが解るようになりました」と林社長。
 解っても実現するには工作機械が必要と、また人と同じことをやっていても勝てないとの判断で、昭和50年に、マシニングセンタと自動プログラミングシステムを導入。
 当時は、和歌山県内でまだ、マシニングセンタを設備している会社は少ない時期で話題となりました。


アルミ加工に特化

 昭和59年に和歌山県内の大手写真現像処理装置メーカーの協力会社となりました。
 この会社の部品は99%アルミの材料なので、それまでの設備していたマシニングセンタでは主軸回転数が4,000回転(実質3,000回転)と遅くアルミ材料加工には適していませんでした。
 仕事量が増え、生産性の向上を要求され、昭和61年に和歌山県内では初めてのマツウラ立形マシニングセンタ「MC-510VS」(主軸回転数10,000)を導入。同機は高速主軸を装備し、機械色が赤色ということで注目を集め、和歌山県内にマツウラの高速マシニングセンタが導入される先駆けとなりました。

 設計部門から同社指名で仕事がでることもありました。
 例えば、ある装置がどうしてもうまく適合しなく、担当の方より相談を受けることもありました。設計担当者に重要ポイントを確認し、材料の変更や金型屋さんとの打合せを行い、それらの変更と設計変更を提案して、この難局を乗り越えたとのことです。
 「人より上に行こうと思えば人の倍努力しないといけない。人に笑われながら、色んなことを経験し、努力してきた結果が信頼に結びついたと思っています」と林社長。


▲昭和63年に設備した立型マシニングセンタ「MC-510VS」


新規仕事先への転換

 同社は順調に実績を伸ばし、昭和63年と平成3年に立形マシニングセンタ「RA-2」を、平成8年に「RA-4F」、平成12年には「RA-3G2」とマツウラの高速マシニングセンタを設備しました。
 しかし、特定の仕事先に依存している経営基盤に不安を抱いていました。和歌山県内では仕事先が限られるので、県外へ向けて仲間の会社と協同受注が出来ないかと模索し、居酒屋で知り合った議員さんを通じて市議会、また県議会に働きかけました。
 その結果、和歌山県内で関西・中部地域の会社との商談会の開催が実現しました。その商談会で三重県伊勢市にある大手ハイテク産業製造装置メーカーとの出会いがあり、現在この会社が主力仕事先となっています。
 ウエハー搬送システムAMHSや部品ロボットアームなどのハイテク部品に対応するために平成19年9月に5軸制御立形マシニングセンタ「MAM72-35V」(主軸回転数20,000)を設備し、更に仕事の幅を広げています。現在一人娘のご主人が同社に10年前に入社され、この「MAM72-35V」を担当しています。
 「マシニングセンタが7台ある工場ですが、オペレータは4人のみです。機械がフル稼働の時もありますが、そうでない時もあります。フル稼働の時に限って新規仕事の要請があり、仕方なくお断りすることもあります。先が読めない時代であるが、ものづくりの仕事は面白いので続けるしかないと思っています」と林社長の言葉です。


▲平成19年に設備された5軸制御立形マシニングセンタ「MAM72-35V」



 林社長の趣味は釣りです。また釣りでも誰にも負けないと自負されています。
 たかが趣味の世界でも同じ事をしていれば、その人以下、うまくいってもそれ相当、絶対にその人以上になれない。季節や水温による魚の棚に合わせた仕掛け作り、疑似餌の動かし方など、その時々の道理にかなったやり方工夫をしているとのことです。
 釣りも仕事も難しい条件下であればあるほど知恵を生み出し挑戦する林社長の姿勢に敬服した取材でした。


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