会長 松浦 正則


【情報を売る】

 今や欧州のお客様を廻ってみて感じるのはどことなく余裕を持っている様で「ガツガツ」して仕事をこなしていないことです。

 昨年11月にUKの中小企業を訪ねてみて、グローバル化時代を生き残る何らかの条件を見つけた思いがしました。
英国中央にあるMedley社は、創業22年、従業員数は社長を入れて20人ほど、仕事は北海油田に関する部品加工業と、 一見何の変哲もない会社で、工場を見学しても、恒温室等は無く、日本にもある普通の工場でした。

 しかしいきなり社長から言われたのは、客先は石油関連や鉱山等の開発に必要な「情報を売る」会社で、 試掘し出てきたマッド(泥状)を分析調査して、大手石油会社や鉱山等に売り、その後大手が、本格的な掘削を進めるとのこと。
それ故、資源ブームのこの時代、北海油田だけでなく、世界のあらゆる開発に関わっており、当分仕事には困らない。
何故ならこの材料を加工できるのはここを入れて4社しか無く、試掘条件は千差万別、部品形状、仕様も同じ物はあり得ない。
その上材料も全く経験のない新しい加工方法を要求するものであり、部品は短納期で、決められた日にはなんとしても納入しなければならないと、何の衒いもなく話されてビックリ。
社員も中年の方が多く、一つ一つの仕事に誇りを持って働いており、すがすがしい感じでした。

 振り返って昨年、6月、9月、そして今回と3度欧州のそれぞれの国の企業を訪問して感じた、落ち着いた奇妙な余裕は、事業拡大に走らず、 伝統的なモノづくりに、近代化を常に深耕し独自な企業スタイルを確立しているところにキーがあるように思います。
それに引き替え我が国は、常に上昇指向で、同じ土俵で同じスタイルで競う横並び経営が多いのは「モノづくり」の歴史の浅さがなせる技かもしれません。

 ランチを共にしながら、フライフィシングやゴルフそして旅行でアフリカのキリマンジャロ登山と多様な趣味を生かした楽しみを話されていたのが印象的でした。


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