コーヒーブレイク


老舗企業大国ニッポン

 報道などで老舗企業が廃業した、また合併された聞くことがしばしばあります。
老舗企業は伝統の重荷に耐えられない時代と思っている方も多いと思います。
日本の老舗企業を取り上げた野村進著の『千年、働いてきました』との本が出版されています。

 東京商工リサーチが150万件のデータベースから創業100年以上の企業を抜き出すと、2002年では15,207社ありますが、 個人商店や小規模会社を含めると10万社以上といわれています。
日本以外のアジアでは、100年の歴史のある会社は少なく、植民地の経験のある国では老舗企業は育っていない状況です。
日本は職人を尊ぶ文化があり、老舗企業に中で手仕事の家業や製造業がずば抜けて多く、10万軒のうち4万5千軒は製造業です。
これは日本の歴史の中で、鎌倉時代以後天下を握った武士達は農民の出身であり、大名を含めて身体を動かして働くことを当然のことと考えていたことが、 日本人の技術を大切に育てる思想を培ってきるのではないでしょうか。

 例えば田中貴金属工業は、明治18年(1885年)両替商で質屋の仕事で創業しています。
当時は質流れの金ざしを溶かして金地金に変えて売っていましたが、現在金を延ばす技術を利用して、 プリント基板に使用される金属細縁の大半を製造しています。
また世界最古の企業が日本にあります。
578年創業の大阪にある金剛組という宮大工の企業です。
代々、難波の四天王寺の建築に携わり、当時の最先端の工法を日本に根付かせる役割を担っていました。
幾度も廃業の危機がありましたが現在も寺社建築を続けています。

 ローマやギリシャには古代神殿の柱が多数建っていますが、100年以上続く老舗企業はない状況です。
日本には古代神殿の柱はありませんが、老舗文化という柱が無数に立っていると考えられるのではないでしょうか。


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