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創業5年、3次元CAD/CAMを駆使し試作から金型まで製作する若き企業
─ ケイテック・デザイン ─


ケイテック・デザインの概要
住 所〒243-0801 神奈川県厚木市上依知1429-1
TEL:046-244-1618
FAX:046-245-7034
URL:http://www.ktech-d.com
代表者栗山 薫 氏
創 業平成13年1月
従業員3名
事業内容試作部品・精密機械加工、治具・工具・各種金型の設計・製作、CAD/CAMシステムによる各種データサービス

株式会社ケイテック・デザイン
会社全景


 今回は、神奈川県厚木市にある創業5年目を迎えたケイテック・デザインを取材しました。
小田急電鉄の本厚木駅から北方9Kmにある内陸工業団地のすぐ隣に同社はあります。
この工業団地は旧陸軍相模飛行場跡地に造成された工業団地で、152の企業が工場を構え、神奈川県内では最大級の工業団地です。

 社名「ケイテック・デザイン」の意味は、「ケイ」が栗山社長の頭文字の"K=ケイ"、また「テック」が"技術"、 そして「デザイン」が"設計から製作までの対応力"を表現しています。
平成13年に設立し5年目を迎える若き企業であり、栗山薫社長は43歳と若き経営者です。


右から2番目が栗山薫社長

測定具"ノギス"1本からスタート

 栗山社長は大分県日田市にある高校野球名門校日田林工高等学校を卒業後、神奈川県の大手電気メーカーに就職。
「この会社の試作・金型製作部門でプログラム作成、また加工技術を磨いてきました。 4,5年後に"このものづくりの仕事は独立できる"と感じ11年目に退社しました。 しかし、直ぐには独立せず、違った分野の技術を身につけようと考え、板金プレス会社に就職しました。 この会社では、プレス加工に必要な"絞り"や"順送"の金型設計・製造を9年間行ってきました。 そして平成13年38歳の時に工作機械の加工プログラムデータサービス業として厚木市内で独立しました」と創業時を語る栗山社長。

 「CAD/CAMを使ったデータサービス業を開始すると、お客様から"データサービスだけでなく、加工もして欲しい"との要望を受け、その都度加工先を探す日々が続いていました。 いつかは機械設備を持ちたいと考え、平成16年に現在の工場に移り本格的にスタートしました。 しかし移った当初は工場内には計測具のノギス1本しかなかった状態でした。 その後汎用フライス、またマシニングセンタを設備し、本格的に試作・精密加工分野に事業を変化させていきました」と栗山社長。


高速と5軸のマツウラを採用

 栗山社長とマツウラとの出会いは、栗山社長が最初に勤めた大手電気メーカーで、マツウラの立形マシニングセンタ「RA-U」を担当したことでした。
「RA-U」の工場立会いで、マツウラ本社に17年前に来社され、マツウラの機械・企業文化を知り、「いつかはマツウラの機械を導入したい」と栗山社長は考えていました。
そして平成18年5月末にマツウラの立形マシニングセンタ「V.Plus-800」を設備しました。

 「航空機関連部品が増えて、5軸での加工が必要となっていました。 また、この部品はアルミニウム材のために高速加工が不可欠で、5軸と高速の条件を満たせるマツウラの5軸制御立形マシニングセンタ"MAM72シリーズ"を当初検討しました。 しかし、バイスを使った3軸加工も必要と考え、立形マシニングセンタ"V.Plus-800"に5軸割出しテーブルを付加した仕様で設備しました。 既存のマシニングセンタと合わせて2台のマシニングセンタがフレキシブルに使用できるので、お客様から数量の変動や特急の依頼に応える体制が作れました」と。

 「航空機部品はリピート生産が期待され、安定した仕事量が確保できます。 また試作加工は、年々複雑化していく傾向にあり、試作分野の技術力を高めるためにも、益々5軸加工の必要性が高まると実感しています。 次は絶対にMAM72シリーズを設備したいと考えています」と栗山社長。


高速加工機「V.Plus-800」


品質には絶対の自信

 同社では、車や医療分野など、あらゆる試作部品が持ち込まれます。
試作加工の分野では、3次元のCADデータが扱えることが必須条件となっています。
同社では創業当時から3次元CAD/CAMシステムに投資し、現在2台のシステムが稼動しています。
多数のお客様との取引実績により、3次元CADデータ取込には確実な技術力を持っています。

 「設備機種は少ないので、納期的には100%お客様の要望に応えるのは難しい状況です。 しかし品質に関しては100%対応しています。 試作部品は、その部品が組み込まれて各種のテストを実施されます。 その時に、品質に問題があれば設計の問題か製作の問題か判断が難しくなります。 その意味で我々が作り出す製品の品質には、絶対の自信を持っています」と品質重視を語る栗山社長です。


高速加工によるサンプル

社長自らブログを立ち上げ情報発信

 同社のホームページ(www.ktech-d.com)には、栗山社長自ら書き込む"ものづくりへのこだわり(加工道場)"とのプログが開設されています。
平成16年4月から公開されており、2006年6月1日には"マツウラV-Plus800搬入完了"と写真入で紹介されています。
「書き込みは仕事が終わりホット一息ついたときに行っています。 従って、仕事が忙しいと更新が出来ません。 仕事先は、このブログの更新状況を見て、工場の稼動を判断しているとのことです。 更新が頻繁だと、工場はヒマだと思い、仕事を出してくれる取引先もあります。 更に、ブログを見て仕事を発注してくる初めてのお客様もいらっしゃいます」とブログについて語る栗山社長です。



 ブログにアクセスすると、試作品加工で追い込まれて苦境の中でも、前向きに捉えて新しい発見をされる場面が幾つも記載されています。
この栗山社長の前向きな姿勢が、工場を明るくしています。
写真撮影をお願いしたところ、「一生の記念になるから、全員そろって機械前で取りましょう」との栗山社長の提案で今回の写真となりました。

 栗山社長の名刺には「日本のものづくりを根底より支えます」と書かれています。
企業規模は小さくても、志は高く持つとの気概を感じた取材でした。


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