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1915年(大正4年)創業と伝統ある
株式会社安川電機 のモーションコントロール事業部東京工場を取材


株式会社 安川電機の概要

  • 本社

  • 〒806-0004 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石2-1
    TEL 093-645-8801 FAX 093-631-8837
    URL://www.yaskawa.co.jp

  • モーションコントロール事業部 入間事業所

  • 〒358-8555 埼玉県入間市上藤沢480
    TEL 04-2962-5151 FAX 04-2963-4031


    代表者代表取締役社長 利島 康司 氏
    設 立大正4年7月
    資本金159億円(2006年9月20日現在)
    従業員連結 8,103名 単独 2,766名(2006年9月20日現在)
    事業内容モーションコントロール、ロボット、システム・エンジニアリング

    株式会社安川電機
    工場全景


     今回は1915年(大正4年)創業と92年の伝統を持つ株式会社安川電機の入間事業所内にあるモーションコントロール事業部東京工場を取材いたしました。
    同事業所は、埼玉県入間市駅(西武池袋線)から南に車で5分ほどに位置します。

     同社の創業は、炭鉱用電動機から出発。
    以来、鉄鋼業向けの各種電機製品など、様々な産業分野で実績を積み、戦後の高度経済成長期には、 自動車をはじめとする幅広い生産現場でオートメーションを推進。
    現在、産業用ロボットやACサーボモータ、コントローラ、インバータなどを多数製造しています。

     現在の事業は3つの分野に分かれています。

    【モーションコントロール】
    ・ACサーボ、インバータともに世界NO.1のシェアーを持つ。 近年ではACサーボモータからダイレクトドライブサーボ、リニアサーボへと進化を続けています。

    【ロボット】
    ・1977年に日本初の全電気式産業用ロボット"MOTOMAN" を開発。 2006年には15万台を突破し、世界中の様々な産業で活躍しています。

    【システム・エンジニアリング】
    ・鉄鋼プラント、水処理プラントなどの大型設備、産業用電機品の開発・生産を行い、現在では、最先端の電気計装技術、 情報処理・通信技術を駆使した新しいシステムの構築・提案を行っています。


    ▲当工場で作られる製品群


    リニアモータ生産に貢献する高速立形マシニングセンタ「FX-10G」

     「東京工場では、これまで、サーボモータのシャフトなどを手がけることが多く、その点では、丸物の加工にはそれなりの自負があります。
    しかしながら平物加工については冶具加工が主であり、量産品に関しては工場スペースの関係もあり、ある一時期社外に加工委託をしていました。
    しかし『加工技術の社内育成が必要である』との観点から、マシニングセンタの導入を検討しました。
    また、私共の事業部では、個別のお客様に対応するリニアモータの生産量が増加してきております。
    リニアモータは平面加工が必要な量産品の代表格ですが、その形状や長さは様々であり、長尺物への対応が必要であること。
    材質はアルミ、樹脂などで比較的軽切削ではあるが高い精度が要求されること。
    これらの条件に対応出来るマシニングセンタの検討を進めました。
    マツウラの高速マシニングセンタ“FX-10G”はX軸ストロークが2,040mm、Y軸ストローク1,020mmと広く、大型、長尺ものが加工できる仕様であり、 主軸が20,000回転と高速なので、アルミから樹脂まであらゆる材料が加工できるとの判断で導入を決断しました」と生産技術課試作係の上野和徳係長。


    ▲高速立形マシニングセンタ「FX-10」

     「大量生産の汎用品を加工するのではなく、少量多品種ものを加工するため、稼動率が非常に高い設備と言う訳ではありません。 しかしマシニングセンタの評価として、加工を外部に委託した場合と“FX-10G”で加工した場合を比較して計算を継続して行ってきた結果、 毎月平均200万円以上の効果が出ており、当初の計画通り順調に成果を上げています。 今後、半導体製造装置など、あらゆる生産設備が、生産性向上のための高速性と高精度を要求され、リニアモータの市場は拡大していくと予想しています。 また使用される材料は、リニアモータの適用される状況により様々なものが使われ、用途によっては非磁性体の材料もあります。 そして設備機械に装着されるリニアモータの形状は、お客様の仕様により益々多様化していきます。 これらの生産ためには“FX-10G”は不可欠な設備となっています」と生産技術課の中西烈氏です。


    ▲左から上野和徳係長、田形昌宏課長、中西烈氏


    現役で稼動する立形マシニングセンタ「MC-500V」

     加工工場の中に一際鮮やかな機械が目に入りました。
    1981年に納入されたマツウラの立形マシニングセンタ「MC-500V」です。
    この「MC-500V」に装備されているNC装置が機械本体と一体形で作られた同社製の「YASNAC-3000G」で、 かつ主軸モータは当時としては画期的なACサーボモータを使用しています。
    この赤い「MC-500V」は世界的に販売実績を伸ばし、アメリカ市場では“レッドタイガー”の愛称で当時呼ばれていました。
    「納入して25年経過していますが、現役で稼動しています。まだまだこの工場では重要な設備です」と中西氏。


    ▲1981年に設置された「MC-500V」



     今回の事業部で高速マシニングセンタ「FX-10G」と歴史ある立形マシニングセンタ「MC-500V」が同じフロアーで稼動しており、 マツウラのマシニングセンタ開発の歴史が見られた取材となりました。


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