ユーザーを訪ねて No.131
少数精鋭で"小さな大企業"を目指す
友徳精機 株式会社
友徳精機 株式会社
住 所
〒923-1205 石川県能美市宮竹ホ8番地
電話番号
FAX番号
E-mail
0761-51-5811
0761-51-5188
yuutoku@titan.ocn.jp
代 表 者
代表取締役 北 政和 氏
創 業
昭和53年11月
設 立
昭和60年12月
資 本 金
1,500万円
従 業 員
8名
事業内容
治具・ロボット関連機器 アルミ合金加工
工場全景
今回のユーザーを訪ねては、北陸自動車道小松インターから車で北東へ15分ほどにある友徳精機株式会社を取材しました。
「工作機械メーカーに20年勤め、営業技術として納入立会いや技術指導で、日本中を出張していました。 多くの企業を訪問し、経営者の方々とも直接話す機会を得て、良い勉強をさせて頂いた。 その中で、是非自分で経営したいとの思いが強くなり、妻を説得して昭和53年にNC旋盤とNCフライスからスタートしました」と創業当時を語る北宏之会長です。
北宏之会長と北政和社長
北会長は北陸先端科学技術大学院大学の技官
同社は、石川県にある北陸先端科学技術大学院大学のキャンパスの直ぐ近くにあります。
北会長は、この大学の技官を兼務しています。
「北陸先端科学技術大学院大学から連絡があり、新素材センターの技官に就任して欲しいとの連絡がありました。 私は大学も出ていないし、人選ミスですと断ったところ、何年でも待ちますとの返答でした。 しかし国立大学の技官となるためには、国家公務員となるので、全ての会社役員を辞める必要があります。 そこで、既に入社していた息子に相談したところ、承諾してくれたので、技官の職を受けました。 従って、この時点で社長を息子に譲り会長に就任しました」と北会長。
平成9年に会長のご子息である北政和氏が社長に就任しました。
北社長は高校卒業後、石川職業能力開発短期大学を卒業して、工作機械メーカーに就職。
その後24歳で同社に入社しており、入社2年目の26歳で社長に就任しました。
旋盤から無人運転のマシニングセンタへ転換
「会長から相談を受けたとき、不安はあったが自ら経営をやりたいとの希望もあり、会長が技官の職を受けることを応援しました」と北社長。
「入社した当時、10台のNC旋盤が主体の工場運営でした。 私もNC旋盤3台を受け持ち、月1,000個の量産部品の仕事をしており、機械に振り回される毎日でした。 機械の前に立ち仕事がスタートし、帰ると機械が止まる、この繰り返しに疑問を感じ、このままの経営では将来性がないと考えていました。 人が家に帰っても仕事が進む無人化運転できる機械設備への変換が必要と考え、NC旋盤からマシニングセンタへの移行を進めました」と。
今まで進めてきた北会長の得意分野である旋盤中心の経営からマシニングセンタを中心とする経営に大きく方向を変換する時に、マツウラとの出会いがありました。
横形マシニングセンタ「MC-900H」を導入
「加工に関して超ベテランの先輩に無人化運転できる機械について相談をしたところ、 "加工機械は長い期間使用するものであり、信頼のあるメーカーの機械を選択しないといけない。 是非マツウラを検討するように"と勧められました。 また仕様についても"横形マシニングセンタの回転テーブルは、高精度なNC割出しを採用し、将来の無人運転への拡張性を考え2面パレットと工具本数は100本仕様が必要"と言われました。 素直にアドバイスを受け入れ、この仕様で横形マシニングセンタMC-900Hを平成2年4月に設備しました」と北会長。
多面パレット仕様の「MC-900H」
アルミ合金加工への転換
「MC-900H」導入後、ある客先から難しい仕事で困っているので応援をして欲しいと頼まれ訪問。
先方の社長より「どこへお願いしても良品が出来ない加工です。 御社にはマツウラのMC-900Hの設備があるのを見ています。出来ますか?」と問われ、 「やってみなければ判らない。治具一式をお借りします」と北社長は返答。
加工ワークは、アルミ合金で出来た半導体製造装置関連のもので、多数の割り出し面があり、また薄いリブ形状もあり大変難しいものでした。
「お客様の治具・加工ワークを会社に持ち帰り、途方にくれていましたが、誰も助けてくれません。 自分で挑戦するしかないと決意し、徹夜でMC-900Hに挑みました。 MC-900Hの回転テーブルはNC割出しのため、割り出し面の加工が高精度で行え、また機械剛性があるので加工面も高品位で仕上げることができました。 翌朝仕事先へ納品しましたところ、見事な完品であるとの評価を得ました。 MC-900Hの仕様をアドバイスどおりNC割出し回転テーブルにしていないと、この加工は絶対に出来ないものでした。 改めてアドバイスを頂いた先輩の先見性に感謝しました」と北社長。
この仕事を契機にアルミ合金加工が増え、以前の鉄中心の加工からアルミ合金加工へと仕事の内容が大きく変わる転換点となりました。
横形マシニングセンタ「MC-700H」、「H.Plus-630」を設備
MC-900Hは、2面パレット仕様で設備していましたが、仕事量が増え無人化運転を進めるために10面パレットに改造し、量産に対応できる機械にレベルアップしました。
しかし仕事先の更なる量産への対応を求められ機械増設が必要な状況でした。
北社長がインターネットで中古のマツウラ横形マシニングセンタ「MC-700H」を検索し、直ぐ購入を決断され平成18年に設備。
引続き平成18年12月に12,000回転の主軸を持つ最新横形マシニングセンタ「H.Plus-630」を設備しました。
この2台のマシニングセンタを設備したことで、量産要請に素早く対応できる体制を構築しました。
「NC旋盤中心の経営のときは、従業員は15名でした。 現在無人化対応のマシニングセンタを増設していますが、8人で工場を運営しています。 構成は、家族5人と職人・パート3人で家族経営を貫いています。 人材は大事ですが、最先端のマシンを設備し少数精鋭での工場運営"小さな大企業"を目標にしています」と北社長の言葉です。
「MC-700H」
最新機種「H.Plus-630」
北社長は、子供のころ北会長に連れられて工場で遊んでおり、小学校時代にはNC旋盤の絵を書いたとのことです。
自然に工場で働く両親の姿を見て育ったそうです。
北社長には3人のお子さんがいます。
北社長の奥様も工場で働いているので、お子さん達は学校・幼稚園から工場へ帰ってきます。
「両親の働く姿を自然に見せることで、両親に尊敬を持つ子供に育ちます。 北社長もそうやって育てました」と工場で一緒に働く北会長の奥様の言葉です。
ホームページ上で北社長は「創業の原点である"他人のできない仕事をしたい"との精神を大切にし、新しい時代の技術に挑戦してゆきたい」と言葉を載せています。
北社長はこの言葉どおり、ものづくりに対する創業の原点を受け継ぎ、将来のステップとして自社ブランドを持ちたいと考えています。
北会長が国立大学の技官の職にあることから、多数の大学との人脈が構築されており、この人脈から"友徳精機"ブレンドが生まれる可能性があると感じた取材でした。
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