ユーザーを訪ねて No.127
新工場建設で地域社会へ貢献する
平和産業 株式会社



平和産業株式会社の概要
本社〒108-0073 東京都港区三田2-2-18
船橋工場
 電話番号
 FAX番号
 URL:
〒273-0024 千葉県船橋市海神町南1-1544-10
047-435-2430
047-432-0787
http://www.heiwasangyo.co.jp
駒ヶ根工場〒399-4117 長野県駒ヶ根市赤穂330-29
市川工場〒272-0127 千葉県市川市塩浜2-29
代 表 者代表取締役会長 八尾 喬生 氏
代表取締役社長 八尾 泰弘 氏
設 立昭和38年6月
創 立昭和42年9月
従 業 員120名
事業内容航空宇宙・エネルギー関連部品製造及び加工難切削加工品、セラミック・複合素材加工金型・治具関連部品の製造
関連会社株式会社ヘイワモールド、株式会社ファソテック、株式会社大和平和

平和産業株式会社
竣工式を迎えた駒ヶ根工場



 今回のユーザーを訪ねては、5軸加工分野の最先端企業である平和産業株式会社の長野県駒ヶ根市に完成した新工場を取材しました。
取材は4月21日新工場竣工式当日の忙しい中でしたが、八尾喬生会長と八尾泰弘社長に御対応頂きました。

 駒ヶ根市は、長野県南部・伊那谷のほぼ中央に位置し、東に南アルプス、西に中央アルプスを望む、自然環境に恵まれた人口35,000人の中核都市です。
また東京へは中央自動車道経由で3時間30分、名古屋へは2時間30分と社会的・経済的にも恵まれています。

 「社長就任6ヶ月目です。今では仮免許で、本日の竣工式が本試験ですよ」と42歳の若き社長の八尾泰弘氏。
八尾社長は、機械系の大学を卒業後、プレス金型企業と大手製造メーカーで働かれた後、平和産業へ入られ今年で14年目になります。
「家業が製造業でしたが、子供の頃は、ものづくりに憧れてはいませんでした。 しかし大学生の時に、製造業が家業でなければ、この世界を知ることはないなと思うようになっていました。 そして、ゼロからものを作る苦しみと喜びを知っている自分には"ものづくり"に携わるのが自分の使命と納得するようになっていました。 世の中では世襲を批判的に捉える向きもありますが、製造業では世襲を肯定する要因を持っています。 製造業は、短期的に答えを出すのではなく、長期的に積み上げていくものです。 その意味でも、世襲という形で守られるべきものであると思っています」と八尾社長の言葉。
代表取締役会長 八尾 喬生 氏代表取締役社長 八尾 泰弘 氏


地域社会に貢献する新工場

 同社は、昭和51年には、マシニングセンタなどNC工作機械を設備して、3次元曲面を加工する技術を確立しました。
そして昭和58年にはホストコンピュータIBM4341を導入し、関連会社ファソテックの設立によりCAD/CAMの共同活用を本格化させるなど、 次々と最先端技術に取り組まれていました。
特に平成2年に5軸加工機を設備し、それ以降の積極的な5軸加工機導入とCAD/CAM技術の向上により、航空機産業など5軸加工分野では、 名実ともに最先端企業となっています。
船橋工場ではマツウラの5軸加工機「MAM72‐3VS」が4台設備され、主力として稼動しています。

 「近年航空機関連のお客様が名古屋に増え、これまでは船橋から冬は東名自動車道で、夏は中央自動車道で部品を納入していました。 お客様の要望に応えるために将来は東海地域に工場が必要と漠然と思っていましたが、駒ヶ根市からの誘致に関する一枚のハガキにより工場建設を考えました。 平成16年12月に工場建設を決め、平成17年の2月に駒ヶ根市と正式調印を行い、本日竣工式を迎えました。 平成16年初頭は、不況の中で全ての投資は凍結する方針でいました。 その後ボーイング787などを製造する大手企業から直接加工工場として指名されたことが、工場建設のきっかけとなりました。 本日竣工式で、これから本格稼動を始めますが、既に仕事先から増産要請があり、タイミングは悪くなかったと思っています」と八尾社長。


工場見学で熱き視線を浴びる「MAM72-63V PC2」

 駒ヶ根工場の従業員は25名で、殆どが地元の出身者で構成されています。
他の会社での経験者はなく、地元の職業訓練校で学ばれた人が殆どです。
採用後、一年かけて船橋工場に派遣する等して加工に関する研修を行なってきました。

 関東方面の工場での生産が中心となっている同社は、関東での自然災害があった場合のリスクマネジメントを考え、工場を移設できる10,000uを準備しています。
現在その内1,300uのみ使用しています。

 「ここ駒ヶ根に住む人達は、心から地元を愛しています。 それ故に駒ヶ根工場は、この土地の方々に運営を任せたいと思っています。 我々の仕事は、世界中のお客様の商品を、この工場に持ち込むことです。 この工場の全員が完成品の作れるスキルを持てば、結果的に納税や雇用で地元にお返しできると考えています。 IT技術が発達して、関東の工場から加工データを送って加工することもできますが、これで完成品が出来るのであれば、中国へデータを送って加工すれば良いのです。 しかし、平和産業では、加工現場のノウハウを付価することでお客様に認めて頂ける価値を実現をしなければいけません。 またお客様が常に求めるのはスピードです。すなわち時間軸には価値があります。 その意味でも、この工場の立ち上げは重要であり、八尾会長が陣頭指揮をとっています」と八尾社長。


大型5軸加工機のフロアー

 竣工式の工場見学会には東京、名古屋から専用のバスにて多くの関係者が来社されていました。
従業員の方も朝早くから準備に奔走され、各機械とも次々と仕事をこなしていました。
マツウラの5軸制御立形マシニングセンタ「MAM72-63V PC2」が工場入り口のフロアーに設置され、ステンレス材のタービンブレイドを加工していました。
地元出身の女性が操作しており、「マツウラの機械は精度良く、使い易い機械です」との嬉しい評価を頂きました。
別のフロアでは大型5軸、又5面加工機が4台設備されており、アルミ材の航空機関連部品を主に加工していましたが、 その一角では純鉄で大型の超伝導関連部品が、高精度で加工されていました。
多種のワークを見て広範囲に及ぶ同社の営業力にも驚きました。

 大型機械のフロアーに今まで加工された航空機などの部品が並べられ、同社が培ってきた5軸加工技術力をアピールするコーナーもありました。
その後ろには大きく「駒ヶ根の自然と文化を愛す」、 「想像しましょう。この部品が組み立てられ走る姿を、飛ぶ姿を。。。全員参加で品質の作りこみ。」との垂れ幕が掲げられ、 また社長名で駒ヶ根工場の私達の目標が掲示されており、工場立ち上げの一致団結する姿勢と情熱を実感しました。

「MAM72-63V」で加工したステンレス材のタービンブレード


駒ヶ根工場私達の目標
社 長


陣頭指揮を取られる八尾会長

 この工場の立ち上げの陣頭指揮を取られているのは八尾会長です。
月曜日の朝は東京で朝礼を行い、夜には駒ヶ根工場入られ、そして金曜には東京へ戻る生活をされています。
同工場内に宿泊施設があるので、八尾会長はそこで休まれています。
「"本日の竣工式が始まりであり、これからが本番。いい芝居に仕上げるかどうかは君たちである"と今朝の朝礼で話をしました。 いずれ小さい家を建てて、家族と住みます。今までの工場は皆がやってくれます。 中小企業はトップが気迫を見せて、引っ張っていく必要がります。 駒ヶ根工場が自立できるまで、私は頑張るつもりです」と元気に語る八尾会長です。



 今回の取材では、新工場建設が進出企業にもプラス、また地域社会にもプラスになる、そしてお客様にもプラスになるという理想の形を見た思いです。
また、この挑戦を指揮される八尾会長の姿に改めて敬服した取材でした。


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