ユーザーを訪ねて No.126
研ぎ澄まされた感性と技術で自動化機器に挑戦する
片山機械 株式会社



片山機械株式会社の概要
本社
 電話番号
 FAX番号
 URL:
〒918-8014 福井県福井市花堂2丁目22-3
0776-36-4565
0776-35-4011
http://www8.ocn.ne.jp/~katayama/
代 表 者代表取締役社長 片山 龍一 氏
設 立昭和21(1946)年9月
創 立昭和42(1967)年6月
従 業 員20名
営業品目各種自動機器、治工具類の設計・開発・製作調整までの一貫生産。精密機器部品の加工。

片山機械株式会社
雪に覆われた工場全景



 今回のユーザーを訪ねては、マツウラと同じ福井市内で操業されている片山機械株式会社を取材いたしました。
昨年12月福井県内は記録的大雪となり、全国版のニュースで紹介される程でした。
今回は、そんな大雪の中での取材となりました。


工作機械メーカーとしての経歴

 同社は現社長片山龍一氏の父、片山信二氏により昭和21(1946)年にシャトル機械及び部品の製造、販売を行う会社として創業されました。
「父は戦前福井県内の工場を修行で回り、松浦機械でも仕事をしていたことがあると聞いています。 戦後直後、その経験を活かして独立しました」と、片山社長よりマツウラとの縁が語られました。
創業当時は繊維関係の仕事に従事し、昭和32(1957)年には小型フライス盤、また昭和39(1964)年には横フライス盤の製造を開始しました。
片山機械のブランドで作れば売れる時代でした。
しかし、その後何度も不況の波に襲われ、残念ながら工作機械製造からは撤退しました。
「工作機械を止め、部品製造業に集中した時期には、マツウラの汎用工作機械VC1800のギアボックス等の加工をしていたこともありました」と 片山博行取締役工場長より、またもマツウラとの縁が語られました。

 「社長の私が、部品製造だけで満足できず、自分たちで設計したものを形にしたいとの願望がありました。 工作機械を製造していたため、設計の人材はいましたので、彼らの設計能力を活かして、新規分野である自動化機器の製造販売を昭和51(1976)年から開始し、現在の基盤を作りました。 当時はめがね製造用の自動化ラインを多数製作し、納入しました。 多数の自動化設備を製作、販売していく中で、大手電子部品メーカーとの出会いがあり、高精度な自動化設備製作への挑戦が始まりました」と片山社長。

代表取締役社長 片山龍一氏取締役工場長 片山博行氏


全てに高精度が要求される自動化機器

 同社は、長年の経験を活かして、各種自動化機器、治工具類、また搬送ラインの設計・開発、そして加工・組立てまでの生産を行える体制を構築しています。
また納入した自動化機器が海外で設備されることも多くなり、輸出申請の関係上から平成12(2000)年にはISO9001取得して品質保証にも万全を期しています。
自社内で各種の部品を製造するために、マシニングセンタ5台を筆頭に、放電加工機、ワイヤ放電加工機、各種平面研削機が多数工場内に設備されています。
これらの設備は自動化機器の部品製造と、もう一つの柱である高精度部品の製造に活躍しています。
「自動化設備を製作する上で、機器の調整が必要になります。 我が社はその調整に、工作機械で使われる手作業による"きさげ"作業でなく、精密なスペーサーを使用します。 そのために研削の加工技術には自信がありますので、自動化機器の精密組立てにおける調整作業では、精度確保が容易に行えます」と片山工場長より説明がありました。
組立て工場では、大型自動化機器の組立てが行われており、同社の自動化機器製作における技術力の高さを見ることが出来ました。


更なる高精度加工への挑戦

 「自動化機器の部品、また受注される部品製造は試作が殆どで、個数が少ない状況です。 かつこれらの試作の素材は鉄やアルミ、ステンレスに樹脂など、あらゆるものが要求されます。 その為に加工条件も様々です。 既存のマシニングセンタは、主軸回転数が10,000回転しかなく、あらゆる条件には対応できませんでした。 更なる高速主軸を持つマシニングセンタが必要と考え、高速マシニングセンタで実績があるマツウラを検討しました。 また弊社には500mm幅の部品を研削する大型の研削機があり、これに対応できる部品を製作するためにはマシニングセンタのY軸方向の動きが500mm以上必要でした。 通常Y軸の動きが500mm以上のマシニングセンタはX軸の動きが1,000mmとなり大型機となります。 しかし弊社は、正方形の部品が多く1,000mmまでは必要ありません。 検討を進めるとマツウラの立形マシニングセンタV.Plus-800は、Y軸の動きは550mm、しかもX軸の動きは800mmで、 弊社の求めている仕様に合致していましたので、平成17(2005)年8月に導入し現在に至っています」と片山工場長。


平成17年8月に設備された「V.Plus-800」


日々挑戦する企業風土

 導入した「V.Plus-800」は20,000回転の主軸を装備しています。
加工工場では、この主軸回転数を活かすべく、挑戦しています。
特にアルミ部品では驚異的な加工を多数実現しています。
例えば、4mmのアルミプレートを1.8mmまでの薄さにする加工に挑戦したところ、まったく"そり"がない加工が出来ています。
これまでの薄物加工では"そり"に悩まされており、「V.Plus-800」の高速加工で薄物部品における加工技術のノウハウを体得しています。

 「自動化部品、また試作部品が殆なので、一個しかない部品ばかりです。 また素材も何が要求されるか分からない状況下で加工しなければいけません。 社員には、失敗を恐れず挑戦するよう激励しています。 挑戦しなければ技術力は上がっていきません。 少し難しいことに挑戦していると、何年か後にはハッとする技術力に到達しているものです。 加工現場の社員が、更なる挑戦をする為にもマツウラの高速マシニングセンタは不可欠と考えています」と片山社長は人材育成についても語られました。

 「自動化機器、また試作部品の製作にあたり、常に心がけていることは、お客様のニーズに合致しているかどうかです。 ISO9001取得をきっかけに、毎年一回担当の方々に "不満足度調査"を実施しています。 お客様の本音をお聞きする工夫をし、その声を真剣に聞くことに弊社の将来性があると信じています」と片山社長は結ばれました。


自動化機器設計に稼動するCADシステム


 マツウラと同じ福井市内の会社への取材でしたが、創業者はマツウラで仕事をされたことがある、 また同社は過去にマツウラの部品製造をして頂いたこともあるなど、縁の深さに驚きました。
更には、同社創業60年目にマツウラのマシニングセンタを設備して頂いたことに深い縁を実感しました。
また片山社長の「自分たちが設計したものが形になっていく、これが喜びである」と言われることに「ものづくり」にこだわる社長の姿勢に感動した取材でした。


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