自分よし、相手よし、世間よし
江戸時代に生きた近江商人には「自分よし、相手よし、世間よし」との経営精神があります。
この言葉は「商取引において当事者の売り手と買い手だけでなく、その取引が社会全体の幸福につながるものでなくてはならない」との意味です。
近江商人は天秤棒で商品を担ぎ、他国行商を本務とし、行商先の人々の間に信用という目に見えない財産を築いていかなければならなかった。
すなわち、地縁や血縁のない国や地域へ毎年出かけ、得意先を開拓し、地盤を広げていかねばならない。
商いのための心構えを説いた近江商人の教えが、現代でも「三方よし」という言葉に集約され表現されています。
商行為の基礎に、社会の一員という社会的認識の重要性を強調するこの「三方よし」の経営精神は現代でも少しも古びていなく、
良き企業市民を目指す現代企業にとって示唆するところが大です。
誰しも、扱っている商品が人の役に立ち、悦ばれ、自分の営業活動が社会益につながるとの信念を持つことが、
企業の一員として社会参加しているとの積極的な意義を感じます。
もし社会の中の一員という意識を忘れ、私利の追求のみに走った結果、やがて破綻にいたることは多くの企業不祥事に見られます。
グローバル化の嵐の中、弱肉強食と言われ強いものが生き残る世界と言われてきました。
しかし、現在世界中で盛んに企業の社会的責任が問われています。
正に、この古の日本人が自らの経験から創造した「三方よし」の文化は、世界に通用するもので、また世界が熱望するものではないでしょうか。
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