第33回日本産業技術大賞・文部科学 大臣賞を受賞

金属光造形複合加工機 M-PHOTON 25C



マツウラ/松下電工:共同開発の成果−


感謝の言葉を述べる松浦正則社長
(写真:日刊工業新聞社提供)


 日本産業技術大賞は、日刊工業新聞社が昭和47(1972)年に創設され、産業界や社会の発展に貢献した成果をたたえ、 今後の技術開発を奨励する表彰制度で、政府からの支援により、内閣総理大臣賞と文部科学大臣賞が授与されます。

 表彰の対象となる技術開発は、
  1. 産業発展に貢献度の高い産業設備の開発
  2. 独創的・画期的で社会に変革をもたらした技術
  3. 技術革新に貢献度の高いシステムの開発
  4. 地球環境保全に大きな効果を発揮する設備開発
 などを対象に、実際に工業化または活用されていることが、表彰対象の条件になっています。

 第33回の受賞は1ページに記述のとおりですが、過去の大賞受賞の中には「H-1ロケットの開発」「瀬戸大橋の建設技術開発」 「新世代新幹線車両システムの開発」「大型光学赤外線望遠鏡(すばる天文台に設置された望遠鏡)を実現した主要新技術」など、 時代を変え、時代を超えた新しい技術開発がきら星のようにならんでいます。

 第33回の文部科学大臣賞を受賞したマツウラと松下電工の共同開発した「M-PHOTON 25C」は、文部科学省による地域結集型共同研究事業に、 福井県が平成12年度から地域指定を受け、光ビームを基礎とした産学官連携による共同研究開発を行った、商品化への応用でした。
そのひとつの研究成果が「M-PHOTON 25C」です。

 いま全国の各地で、産学官連携共同研究事業が盛んになっていますが、基礎研究や基盤技術はともかく、 商品化まで実現させるのは難しく、その意味でも「M-PHOTON 25C」の受賞は、産学官共同研究で開発した製品が、 新しい技術分野の商品として認められた、大きな証明にもなりましょう。



金型製作をもう一度、日本に引き戻す−

 既報のとおり「M-PHOTON 25C」は、「金属粉にレーザ光線を当てて型を作り上げていく光造形と、高速切削加工」とを組み合わせた、ハイブリッドな複合加工機です。
光造形も高速切削加工も、それぞれ単独では広く知れわたった技術ですが、これを組み合わせ融合させた技術と装置は、今までありませんでした。
この2つの要素技術を組み合わせることで、全く新しい驚くような成果、それが「金型製作時間と製作コストが、従来の1/2以下」の出現になりました。

 この新しい技術の応用により、中国などに移転している金型製作などをもう一度、日本に引き戻すことも可能になりましょう。 「これからは金型加工だけでなく、例えば人工骨なども作れる新しい分野へも挑戦し、発展させたい」と松浦社長は将来展望を、語っています。

20年来のご縁が、実を結びました−

 4月14日、ホテルグランドパレスで開催された授賞式のあと、会場では各出席者が受賞の喜びや、開発の苦労話などで賑わいました。

 マツウラでは松浦正則社長のほか、松浦勝俊副社長、天谷浩一開発技術部長などが出席し、松下電工の畑中浩一社長や関係者と懇談。
また川崎重工業の西村正副社長とは「思いがけない時に、思いがけない方とお会いできて―」と奇遇を喜び合う一幕もありました。

 マツウラと共同開発の松下電工の畑中社長は「金型技術での受賞は松下電工で初めて。担当部署や技術者の大いな励みになる。 松浦機械とは20年来の付き合いで、つながりも深い。 これからも共同歩調で技術に磨きをかけ、日本の金型産業の復権に努力したい」と受賞の喜びを話されました。

 また審査委員会特別賞を受賞された、川崎重工業の西村副社長とは「川崎重工業の西神工場に、 多くのマツウラ製マシニングセンタを導入された時の工場長の要職」であった時いらいのご縁深い関係。
15〜6年前にマシニングセンタを導入される時、何度もマツウラの本社工場へ来社いただき、徹底的にマツウラの機械を調査検討し、 川崎重工業の新鋭設備に採用された―そんな奇遇が、当日のご縁となりました。
松浦社長は「このような所で、西村副社長と再会できるとは、夢みたいですね。ご縁とは不思議なものです。 マツウラは本当にいろいろな方々のご縁によって、今があるように思います。 今回の受賞は、ひとしおその思いが大きい。そんな気がします。かずかずのご縁に深く感謝します」と、話していました。

写真左から松下電工・畑中浩一社長、松浦正則社長、
松下電工・中村良光常務経営執行役、松浦勝俊副社長
川崎重工業・西村 正副社長と奇遇を喜び合う松浦社長


機能や操作性向上の、第2世代機も−

 平成14(2002)年秋の試作機発表いらい、大変多くの方々に注目され多くの反響を呼んだ「M-PHOTON 25C」。
同機を担当するマツウラのレーザ事業推進室では、さらにさらに機能を向上させ、ご満足のいく光造形技術による複合加工技術に、 創意工夫を重ねて精進していきます。

 なお4月21日から24日まで開催された金型展示会「INTERMOLD 2004」(第15回国際金型加工技術展)に、 革新的技術をそのままに、加工システムの改良による寸法精度の向上、大出力レーザ発振器の搭載による造形時間短縮、 各種操作性を向上させた「第2世代金属光造形加工機」を出展、展示会入場者の注目を集めました(展示会の模様は、次号でお知らせします)。

 また今秋11月1日(月)から11月8日(月)まで、東京は有明・ビッグサイドで開催される予定の第22回日本国際工作機械見本市 「JIMTOF 2004」にも、同じく「第2世代機」を出展いたす予定です。
会場で実機をご覧いただき、「日本産業技術大賞・文部科学大臣賞」受賞の新技術を体感ねがえれば幸いです。


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