松浦共栄会/第5回海外研修旅行
驚異、驚嘆そして脅威の連続!

昨年11月16日〜23日/中国・タイを実体験する


ASM社工場前でASM社工場長からマツウラMAM72-3V稼動状況を説明いただく

 松浦共栄会の海外研修旅行が昨年11月16日から23日まで7泊8日の日程で、 中国は香港・深センとタイの2国訪問の見学研修(7工場と1ヶ所の工作機械展示会)が、実施されました。

 共栄会の海外研修旅行は、今回が5回目。
第1回目は昭和59年3月にWESTEC展示会見学をベースにした北米市場の見学に(団長は本間 功氏、参加者38名)出発したのち、 平成3年6月には第2回目のツアーとして第9回EMO展の見学を核とした欧州市場の研修(団長は土橋信夫氏、参加者30名) そして第3回目はアメリカ・カナダのマツウラ関連会社ならびに施設の見学研修(団長は今村善孝氏、参加者28名) そして平成9年9月には第12回EMO展見学とマツウラ英国子会社と独国子会社など関連会社の第4回目研修(団長は土橋信夫氏、参加者23名) と回を重ねて今5回目は、私達の足元であるアジアに的を絞っての、研修旅行でした。

 世界の工場、そして大規模な世界市場への可能性を秘めた、香港と深センに絞り込んだ「中国」、 そして日本の企業が進出し成功が著しい「タイ」の2ヶ国の研修ツアーの今回は、 従来までの先進海外研修とはちがった身近な距離感と、親近感のある研修でした。
ダイキン・タイ工場前でダイキン・タイ工場概要の説明をうける


中国/3社、タイ/4社の企業・工場研修見学
日系・現地系の企業とも日本に追いつけ追いこせを合言葉に


 研修訪問先は、中国は深セン地区で、半導体製造装置メーカーの香港資本会社 「ASM社」(社員3,000名、マツウラMAM72-3Vのマシニングセンタが多数稼動中)のほか、 日本の中小企業50余社が集まっている団地企業群を管理運営している「テクノセンター」からご紹介いただいた工場で、 旧の三田工業(コピーメーカー)が相当に尽力された団地の企業群。
そして香港資本の金型製造メーカー「RICH社」の計3社。
タイは日本企業の現地進出で成功しているメーカーや工場で、家庭用や業務用のエアコンとコンプレッサーなどを生産し、 日本や欧州そしてシンガポールや香港など東南アジア市場へ輸出している「ダイキン・タイ社」(社員1,600名)、 空圧機器などの製造をしている「CKD・タイ社」(社員385名)、 精密治工具や金型・部品など精密機械加工を得意としている「CCS社」(社員255名)、 いすゞ自動車の2,500〜3,000cc級デイゼルエンジン製造の「タイ・いすゞ自動車社」の4社と、 タイで11月21日から24日まで開催中の工作機械展「タイメタレックス2002展」の見学研修と、 7社の企業ならびに工場の見学研修と1ヶ所の工作機械専門展の見学と、 超過密スケジュールの海外研修旅行でした。
CCS社工場前でタイ・いすゞ自動車工場前で


あなどれない、中国・タイの実力!
コストが安く、かつ品質・性能はほぼ日本並み


 参加された松浦共栄会会員22名の方々は、 「人件費が日本の20〜40分の1だから、コストの安いのは当たり前。 だけど品質・性能面などではまだまだとの認識として一般的に伝えられているが、 自分の身体で実感しなければ―」との思いで、参加されました。

 その感想を、参加者の方々から、次のようによせられました。
大多数の参加者は、「見ると聞くでは、大違いでした。私達は、もうウカウカできないですね」 「彼らの仕事ぶりには脅威さえ感じます」 「悪かろう安かろうなんて、とんでもない。ほぼ日本並みの品質で仕上げてますよ」 「タイでは東南アジアから、ほぼ100%に近い部材の調達ができている」など、 このツアーで「あなどれない、中国やタイの実力」を実感されたようです。

 以下、そのコメントの代表的なものは、次の通りです。
「中国人の華僑という仕組みが全世界で生きているが、これが底辺にあるため、 世界中で実戦で身体で覚えた優秀な人材が華僑のネットで本国へ戻っている。 それがパワーアップをしていることを知り、開発研究は日本、製造は中国という今までの図式は崩壊する危険性があると感じた」
「彼らは死ぬつもりで仕事をしている。 中国のワーカーはハングリ精神と向上心が強いし、不良率の多い人は即、解雇されるという現実が決定的に日本人とちがう」
「12億人の中国人が、日本に追いつき追い越せと頑張っている姿を肌で感じ、脅威にすら思った。」
「中国の深セン、タイのバンコクで見たことは、これから成長発展する国の、ドロドロした労働力のパワーのすごさに驚いた。 同時に日本の現状を帰国して今みたとき、これで良いのかと愕然とした」
「見れば見るほど、聞けば聞くほど全てが驚くばかり」
「CCS社は日本人が独自で資本を集めて、精密な機械加工を数人の日本人を中心にやっているが、 工場も社員もその生産性は、日本とは殆んど負けていない。 日本人が失ってしまったものを、その現場を見て教えられた」
「中国人があれだけ真剣に働いていることが信じられない。1年契約という雇用条件のなせるわざか。」
「中国もタイも、いずれもフル操業。 需要があれだけあることを見せつけられ、それに引き替えて日本はどうなると心配になる」
「社員教育にも相当な力が入っている。1年に最低40時間以上の教育で、スキルアップをやっていた」

 こんなツアーの現地研修のコメントのほかに、ツアー全体の感想として、 正味5日間で中国とタイの2ヶ国で、8ヶ所の見学研修は「日程が厳しすぎる」と。
そして、マツウラの直接業務に関係ある企業見学に偏りすぎと 「あまりにも機械や電機に関するものに、こだわりすぎていなかったか。 もっと異業種の見学も選択して、研修してはどうか」との意見も、ありました。
CKD・タイ社工場前でCKD・タイ社で概要を聞く


“もっと働け日本人”と訴えている彼らの仕事ぶり!
日本の得意とする分野を知恵と工夫で―


 いずれにしろ、中国・タイの海外旅行での結論は 「日本よ、うかうかするなよ。死に物狂いで彼らが働いているサマをみて、私達に“もっと働け日本人”と訴えているようだ。 それも汗を出して働くのではなくて、知恵と工夫を出して―」でしょうか。

 中国とタイのすさまじさ―を肌で感じた私達。
体験を活かして、私達の得意とする分野での棲み分けを、真剣に考え行動したい。
以上が第5回の中国・タイ海外研修旅行の結論といえましょう。


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