ユーザーを訪ねて No.112
株式会社稲坂歯車製作所/稲坂油圧機器株式会社

材料から完成品まで、一貫生産に徹する稲坂グループ
歯車・油圧系制御ユニットの稲坂歯車製作所/稲坂油圧機器−中核2社


株式会社稲坂歯車製作所 INASAKA GEAR MFG.CO.,LTD.
本   社兵庫県加東郡滝野町高岡681
工   場本社工場、加美工場、南工場、加西工場、袋井工場、タイ工場
代 表 者代表取締役会長 稲坂 重則氏
代表取締役社長 稲坂 利文氏
資 本 金4,050万円
売 上 高72億円
従 業 員 数360名
主 要 製 品オートバイ・農機用の各種歯車、トランスミッション・油圧機器・軽四トラックダンプユニットなど

稲坂油圧機器株式会社 INASAKA OIL HYDRAULICS MFG.CO.,LTD.
本   社兵庫県加東郡滝野町高岡880
工   場本社工場、東工場
代 表 者代表取締役会長 稲坂 重則氏
代表取締役社長 稲坂 利文氏
資 本 金3,000万円
売 上 高36億円
従 業 員 数160名
主 要 製 品各種油圧機器(方向切換弁・圧力制御弁・流量制御弁・精密ギアポンプなど)


稲坂油圧機器・本社工場


稲坂油圧機器・東工場


   稲坂利文社長

 兵庫県のほぼ中央に位置する北播磨の田園都市、滝野町に拠点を置く「稲坂グループ」は、 株式会社稲坂歯車製作所と稲坂油圧機器株式会社の両社を中核企業として発展中の堅実な企業グループです。

 自動車・オートバイ・農業機械・建設機械などの重要部品の各種歯車、 油圧系の制御ユニット等を、材料から完成品まで、一貫した最新の製造ラインから製造される、 高品質の製品を各業界に広く供給し、その高精度と安定した品質は、顧客先から好評を得ています。
稲坂グループのルーツは、現会長の稲坂重則氏が、昭和24(1949)年7月、当地に創業したのが原点です。

 当地には戦前から川崎重工の歯車部門の疎開工場があり、稲坂会長が飛行機工場で技を磨いていたことも重なって、 鎌鍛治屋として農業用の部品やジョイント、歯車などから始められました。


品質は工程で作り込まれる、前工程を追い込めば後工程が楽しくなる

 以来川崎重工を主要取引先とした同社は、昭和33(1958)年に株式会社へ組織変更。
歯車製造に経営資源を集中させ、材料から完成品まで一貫した加工をすすめ、 さらに川崎重工の取引から派生した、油圧系の制御ユニットなどの事業を新しく展開。
昭和47(1972)年その新しい油圧機器関係の事業を分離独立し、稲坂油圧機器株式会社を設立されました。

 特に稲坂グループの最も得意としている歯車部門は、稲坂歯車製作所の基本技術と、 長年蓄積したノウハウ、最新技術を駆使した厳しい品質管理の下で、各種トランスミッション、 減速機および高圧ポンプ用歯車など、2000余種の歯車やスプラインギアを製造しています。
さらに、それらの技術をテコに油圧ユニットやトランスミッション、 油圧系の制御ユニットである圧力制御弁や流量制御弁、精密ギアポンプを製造しているほか、 汎用ダンプトラックやテールゲートリフター、パワークイッカーなど自動車や産業車両の特装にも実力を発揮しています。

 稲坂グループ両社の社長、稲坂利文氏は同社の企業経営について、次のように話されます。

 「企業は効率を上げるのが宿命。つねに変化する顧客の要求に応じた高品質を保証することが命です。 これを達成するのに、品質は工程で作り込まれる、前工程を追い込めば後工程を楽しくする技術に通じると考えます。 具体的にいえば、知りません、できません、聞いていません、指示ありません、できていません、帰ります……ではなくて、 努力と勇気を持って設備・ライン毎に生産計画を明示すること、生産目標を明示すること、 出来高を明示すること、なども後工程を楽しくする方法。 今風にいえば、改革・変革なくしては生き残れないということですね」


設備の決め手は、現場作業者が惚れ込まねば

 さらに2003年の稲坂グループスローガンについて「社訓にある“品質は我社の命”、“共に助合分合心”によって、 全員一致協力し勇気を持って“豊な明日へ挑戦”し続けること。 私は勇気をもって改革します、五ゲンで後工程を楽しく―と。 これを合言葉に学び実行すれば、全てのことは改善できるし、また改善されるはずです。 難しいといってては、何事もできません」と、きっぱり。

 稲坂グループは、材料から完成品まで一貫した最新の製造ラインから、高品質の製品が生まれ供給することでも定評があります。
そんな中で最新の製造ラインについて、稲坂社長は次のように話します。

 「製造設備やラインの決め手は、使う現場の作業者が惚れ込んでくれることです。 好きになって1〜2年、やはり惚れ込んだ設備だけの事はある、という現場の声により、直ぐ実行。 この積み上げが、稲坂グループの最新設備で、フル稼動し、お客様に満足できる製品を供給してきています。」




高精度のマツウラマシンも、現場が惚れ込んだから

 マツウラの機械を設備として購入された動機について、 稲坂社長は「マツウラのマシンも、懇意な岡田さんから14〜5年も前から、勧められていました。 が世の中の評判は、高価であるというだけで、あまり耳障りが良くなかった。 でも1年余り前に、現場の者がマツウラを実際に見て惚れ込んできました。 それも高精度を求めて飛び込みで見せてもらったらしい。是非マツウラでやってみたいと。 精度が良いという声を信じて、昨年8月から今までに自分でも驚くほど、多くの設備をしてしまいました。 それも初号機設備の良い味を知らずに、2号機を買ってしまった。 マツウラには加工で、カエリを取らなくても良い、いやカエリを出さない対策を課題にしたんですが、 刃物やソフトウェアなどでうまく解決、現場が惚れ込んだだけあると思ったのは、その時です。 やはり現場の目は確かでした。 それも最初はマツウラのギブスCAMソフトによる、複合旋盤のバックアップでした。 こんなことは、機械メーカーとして始めての経験。 稲坂にとって、これは大きなプラスでした」と話されました。

 稲坂グループの中核拠点、稲坂油圧機器の東工場は、油圧機器関係の機械加工専門工場。
ここに設備されたマツウラの機械は、小気味良い切削音を出しながらフル稼動していました。
同工場を案内された稲坂社長は「マツウラの味を噛みしめる前に設備して、心配していたんですが、 増産の仕事量も難なくこなしています。 でも工場スペースや生産能力面で不足気味になるため、東工場を増床することになりました」と話し、 さらに「今まで機械メーカーの社長が、納入した機械の稼動状況を調査のために訪ねられたことは、 一度もなかったのですが、松浦社長は何回も訪ねてこられましてね。 社長の挨拶よりも、機械の値段を安くしてくれないかと今までは思っていました。 でも何度も訪ねられ、いろいろな話を松浦社長から伺って、マツウラと取引して本当に良かったと、 つくづく思っています」と話された顔は、満足そのものでした。



 中国自動車道で大阪から、約1時間ちょっと。
国道175号と372号の交叉した、緑豊かな北播磨の田園都市・滝野町で活躍中の、稲坂歯車製作所と稲坂油圧機器の稲坂グループ。
さらなる発展への可能性を秘めて、元気に前進されることでしょう。



15,300号機の感謝を込めて!

 マツウラでは、マツウラ製マシニングセンタをお買いあげ頂いた、 ご需要家様へ100台毎の台替りに「感謝状」と福井県大野市の越前特産水引細工「宝船」をお届けし感謝の心をお伝えしています。
稲坂油圧機器株式会社様へこの3月に納入のマシンが、国内生産の出荷累計が15,300号機を数えたことを記念して、 松浦社長が稲坂社長をお訪ねしお届けいたしました。




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