連続6年の大臣表彰受賞(創意工夫功労者)

受賞者はいずれも5〜60才代の高令者ばかり
ニシムラジグ/西村 明社長




6年連続で文部科学大臣表彰を受賞

 拝啓、お蔭さまでこの度私どもの社員、高畠元紀さん(63才)が文部科学大臣賞を受賞しました。
これで全社員の1/4にあたる方々が、受賞の栄を受けた事になります。
責任者の私としては、連続6回目の大臣表彰となり、こんな嬉しい事はございません―。

 今年5月初め、こんな一通の手紙が届きました。
金沢で省力化機器製造や精密治工具の設計製作、そして工作機械の部品加工業を営んでいる、 株式会社ニシムラジグの代表取締役・西村明社長からのものです。

 西村社長は、創業が昭和8年の2代目。
中学を卒えると直ちに西村鉄工所(現在のニシムラジグ)へ丁稚奉公に就き、父親である創業者から現場で、 職人としての技能を身体で覚え、この貴重な体験が今の同社の経営に生きづいています。

 「この仕事にとことん、惚れ抜きました。知恵も出しましたし、工夫も重ねてきました。そして私なりに人生哲学も身につきました。 それが、他社にはない何か違いを出すことと、真のお客さんへのサービスは、目に見えないことを黙ってやっておくことに絞りました。 こんな思いで早や、53年も経ちました。 金沢で2〜30人規模の鉄工所が70年も継続して経営しているのは、お蔭さまでニシムラだけになりました」と胸を張って話されます。

 そして、西村社長の創意工夫や現場での職人としての技能と知恵や思いを、何とか社員のみんなと共有せねばとの行動を、 社長の背中を見て感じたのでしょう。
「私の創意工夫や知恵を出す姿を見たことで、社員にうまく受け継がれたのでしょうね。 みんなと共に考え行動したことが、このような形で開花しました」と西村社長。

 それもそのはず。平成10年4月から今年の4月まで、6年連続して受賞したのが創意工夫功労者の大臣表彰で、 いずれも身近な現場作業の中から、創意工夫されたものばかり。
そして驚くのが、受賞者は5〜60才以上の高齢者社員。
以下、連続6年の大臣表彰の軌跡を追ってみましょう。

 平成10年4月「トラック荷台開閉装置の考案」木越 勝さん(受賞時53才)の第1回目から、 平成11年「フライス加工[乾式]に於ける切削カバーの考案」山之内哲郎さん(同58才)、 平成12年「フライス加工に於ける治具の考案」大箱良志さん(同68才)、 平成13年「旋盤加工に於けるドリル加工の考案」永源幸信さん(同66才)、 平成14年「横バイス補助安全口金の考案」磯田紀代子さん(同57才)、 そして今年第6回目で連続6年受賞は、「ダンボール箱の安全止め金具の考案」高畠元紀さん(同63才)の方々です。

 このような素晴らしい成果の、ニシムラジグ西村社長は、 「西村さんは年寄りばかり大事にしていると、いわれています。 決してそういうことではなく、ニシムラはコスト面から、老練な技能をもっている方々に楽しく仕事をしてもらえるよう、 いろいろ工夫した結果だといっているんですよ。 コストの厳しい今日、賃金はそれほど出せないから、せめて真面目に働く彼らの姿を見て、 働きがいのあるニシムラの仕事を一生の仕事にするために、何か報いてやれないかと思い現場でみんなといっしょになって、 小さな創意工夫を拾って、それを成果になるよう後押ししてきました。 これが彼らを発奮させ、受賞につながったと思います。 彼らは一所懸命ですよ。 いつも始業の1時間も前に出社し仕事の段取りをしていますしね」と話し、 さらに笑顔で「私も、うかうか出来ません。彼らが来る前には出社して、あれこれ考えをめぐらせています。」と話します。

 そして一瞬、真顔になって西村社長は 「こんな思いでやってきたニシムラジグの私ですが、子供に渡す財産は誰からも盗まれない、無形のものだけを継がせたい。 これが私の人生哲学です。」と、話されました。

 物の文明から心の文明へ今、大きく変換されつつある時、西村社長はすでに、その数歩前を歩いているようでした。

平成10年4月受賞の木越勝さん 平成15年4月受賞の高畠元紀さん



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