ドイツ - カジノ -
マツウラ・ヨーロッパ代表 鞍津輪隆



 「さよう、紳士たる者たとえ全財産を擦ったとしても、あたふたすべきではないのだ。」 小説「賭博者」より―。

 ドイツ松浦のあるヴィースバーデンはドイツで二番目に有名な温泉保養地であるとこの前のWorld Reportに書きましたが、 温泉保養地に付き物のカジノについてはドイツ一番目かもしれません。

 19世紀最大の作家とも言われるロシアのドストエフスキーがズバリ賭博者という小説をここで書きました。
その舞台となる架空の都市ルーレッテンブェルグ(ルーレットの町の意味) はこの作家が長期滞在し有り金全てを擦ってしまったこの街を下敷きにしていると言われています。
ドストエフスキーは1861年を皮切りに10年にわたって頻繁にここを訪れています。

 この作家の名前を付けた絢爛豪華な部屋に入ると、ルーレットの周りには かつてのロシア人に代わってターバンを頭に巻いた金持ちそうなアラブ人が目立ちます。

 クアーハウス内のカジノでのゲームはルーレットやブラックジャック等の対人ゲームが主で、 スロットマシーン等の機械式ゲームは、雰囲気に合わないため別棟のカジノに設置されています。
ルーレットの台の周りには3人のクルーピエと呼ばれるカジノの係員がいて、 柄の長いレーキで賭金の代わりのチップを集配しています。
ルーレット台上のチップの動きが早いため、誰のチップか判らないようになるのではないかと心配になります。
そのためか、この3人の係員の他に、高い椅子に座ってルーレット台を監視している係員がもう一人。
これらの四人の給料はその台から揚がる客の祝儀でまかなわれているとのこと。

 ちなみにカジノの利益の80%は州政府の収入になり、ヘッセン州の場合4ヵ所のカジノからの収入は、 その州政府役人の全給料に匹敵。
カジノには3人の州の収税人が各々8時間のシフトで詰めていて、毎朝前日の売り上げを調べ、 州政府の口座に送金するように指示します。
もし午後3時の開場時間までに入金が無い場合は、開場は許可されないのだそうです。

 何故これほど胴元が儲かるのか?競輪や競馬と違ってルーレットには血筋や技術の付け入る余地がありません。
台に癖があったりすると、筋金入りのギャンブラーには見破られてしまいますのですぐ取り替えるのだそうです。
ただ、ルーレットにはゼロから36の数字があり、ある数字に賭けて当たったとすると、 本来は37倍の賭金が帰ってくるところ、35倍しかありません。

 他にもいろいろな賭け方があり、総合すると2.7%のみ胴元が有利なのだそうですが、ほとんど勝率五分五分の世界です。

 この問いへの答えとルーレット必勝法については「賭博者」をお読み戴き、 どうか我が町ルーレッテンブェルグのカジノで、運をお試し下さい。
お泊まりはクアーハウス前の五つ星ホテル、ドストエフスキーの宿泊料が未納のままになっているというナッサーホフへどうぞ。
写真は絢爛豪華なカジノの部屋の一部です。



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