世界初、産官学で新しい工作機
レーザ造形+表面切削仕上げ=ハイブリッドマシン
金型(プラスチック射出成形金型)製造を効率化




金属光造形複合加工機「多機能フォトンマシニングセンタ」

 レーザを活用した加工技術開発に産官学で取組んでいる福井県地域結集型共同事業 (Matsuura NEWS ! 平成13年3月号で既報ずみ)で、 超高速切削加工分野で特異な活動を続けているマシニングセンタの専門メーカー、 マツウラと、福井県工業技術センターなどのチームが、 初の金属光造形複合加工機「多機能フォトンマシニングセンタ」の開発に成功したと、 科学技術振興事業団と福井県が、昨秋10月16日に発表しました。

 この新しい複合工作機械(レーザ造形+マシニング加工)によって、携帯電話など多品種小ロットで短納期を求められる、 プラスチック射出成形金型の製造に、大きな威力を発揮するものと、期待されています。
この開発は、科学技術振興事業団の支援をうけ福井県産業支援センターが中核となり、 マツウラのほか松下電工、大阪大学が参画し2000年末から、取り組んでいる研究事業のうちのひとつです。


1台の本機で最終金型を完成!
1ヶ月かかったものを3-5日間で製造


 従来は、切削加工で作られるプラスチック射出成形金型を、 この新しい方法では高出力で短い波長のYAG(ヤグ)レーザで、鉄系の球状の金属粉末を焼き固めながら造形するものです。
加工テーブルに、50ミクロン(50/1000mm)の厚さで、クロムモリブデン鋼を主成分とした微細金属の球状粉末を敷き、 設計データ通りにレーザを照射。
球状の粉末が約800〜1000℃で溶けて瞬時に固まっていき、これを何層にも重ねていくことで、三次元に造形していきます。

 従来、放電加工機で行っていた表面仕上げも、新しいこのハイブリッドの本機では、 造形と同時に高速切削仕上げ加工まで行えます。
従って1台の本機で、最終金型を完成させてしまう、世界初の複合工作機械です。
これは、大阪大学と松下電工とのレーザ焼結技術と、 マツウラの高速マシニングセンタの技術をハイブリッド化(融合)させたことで、可能となったものです。

 作業期間も、2週間から1ヶ月近くもかかったのが3-5日に短縮でき、 また完全自動化で人件費などの大幅なコスト削減も見込めましょう。


プラスチック射出成形金型にも威力発揮
JIMTOF2002の話題を独占した本機


 「中国に追い上げられている日本の工作機械シェアの減少を食い止め、 日本のモノ作りで中国に勝つための重要な技術」と位置づけている本機こそ、 開発競争にしのぎを削っている家電製品や携帯電話などの、情報端末機器の金型需要等に、 大きな注目と期待がよせられています。

 また、金属光造形複合加工機「多機能フォトンマシニングセンタ」の試作機が、 昨秋10月28日から東京有明で開催された世界3大工作機械展 「第21回日本国際工作機械見本市/JIMTOF2002」に参考出展し、 夢を現実化した「新しい物作りの工作機械」として注目。
JIMTOF2002の話題を一手に独占した超人気ぶりでした。


完成した試作機 / 金属光造形複合加工機「多機能フォトンマシニングセンタ」
平成14(2002)年11月14日付「日刊工業新聞」より転載



平成14(2002)年10月7日付「日刊県民福井」より転載


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