品質絶対、多品種少量生産のYAMAHAブランド
浜松市の三信工業・本社工場で学ぶ――(松浦共栄会研修旅行/6月28日〜29日)



 松浦共栄会(会長は土橋信夫ツチハシ社長)は、6月28〜29日の両日、 会員52社55名が参加して第21期研修旅行が開催されました。
今回の研修先は静岡県浜松市近郊で、マリンエンジン事業で圧倒的なシェアを持続して、 ビジネスを展開中の、三信工業株式会社本社工場の見学です。

 同社はマリンテクノロジーを、事業の基本にして、売上の90%余を世界180ヵ余国へ輸出している、 YAMAHAブランドで知られるヤマハ発動機株式会社グループの中核会社です。
同社のマリンビジネスは、小型から大型までの豊富な機種と、 さまざまな用途に対応する高い性能をもつ「船外機」が同社売上の76%を、 次いで売上の10%を軽量・高出力エンジンが生み出す新しい海のパフォーマンスの「ウォータービークルエンジン」が、 さらに経済性と高性能を両立させ幅広い市場分野に浸透している、 船内機用「ディーゼルエンジン」の、3つの製品領域を主軸に、 マーケットのニーズに新たな発想で対応されています。
同社の市場シェアは、中南米とアジアが各50%、欧州35%、北米30%と、いずれも世界のトップシェアです。
しかし北米市場のシェアが30%ながら、同社売上の50%を北米が占めているため、 アメリカ市場の動向などが世界の景気に左右されることが、同社経営の一番のキーワードの由です。

 同社の事業展開について、同社取締役・生産技術担当の山本保雄氏は 「当社は輸出売上が90%を占めているから、業績がアメリカの景気や世界の景気に、大きく左右されます。 このため、多品種少量とフレキシブルな生産指向が大きな課題です。 マリンエンジンは、全世界市場で80万台。 大型は3,300ccから小は200ccまで。 いいかえれば、自動車のエンジンからオートバイのエンジンまで、今36モデル1,400仕様を生産しています。 最近はエンジンが環境対応へ転換させるため、2ストロークから4ストロークへ移行しつつありますから、 ますます多品種少量への生産指向が強まっており、当社にとって緊急な課題になっています」と話されます。

 山本取締役の説明をうけ、生産技術担当の藤野課長は 「こんな状況から現場では、従来に比べて圧倒的な高品質で低コスト、そしてフレキシブルな対応が要求されます。 もう従来設備では、生産が不可能ですし一方、設備増大への投資リスクは大きくなり、 究極のショート生産ラインを目指して、ワンチャッキングによる全加工システムをテーマに、 新たにマツウラのMCシステムを導入しました。 設置後から、メーカーと当社との徹底した相互協力のもと、いろいろ試行錯誤を繰り返しながら、 今では新システム(マツウラ横形MC、主軸15,000回転仕様を7台)で、 従来比“人が半分、加工時間も半分”で、1ロット1台から同時に複数モデルの加工が可能になりました。 今後の課題は、中国などのコストチャレンジに応えるため、機械設備と治具、 そして刃具ホルダーの三位一体となった、新たな価値の創造によって、 さらなるワンチャッキング全加工システム実現に、全精力を傾注したい」と熱っぽく話されました。

 このあと同社本社工場の、船外機とウォータービークルエンジンの組立ライン現場を実地見学。
組立ラインの要所には「品質絶対、信頼と自信のピカ1職場を作ろう」とのポスターが掲示され、 職場単位の信頼されるYAMAHAブランドへの、品質絶対の全社員の意気込みが、 私達研修見学者の身体に、ひしひしと感じとることが出来ました。


ご案内頂いた、三信工業のスタッフ。左側が山本保雄取締役


 松浦共栄会恒例の特別研修、松浦正則社長の早朝セミナー「欧州市場の最新情報と業界動向」は、 翌29日の午前8時から9時50分まで開催されました。(セミナー要旨は次号で掲載の予定)。

 セミナー開始前の7時50分から、昨年制度化した表彰が行われました。
この制度は、マツウラのマシニングセンタ製造用資材や部品などの納入業者、 あるいは下請関係協力業者などを対象としたもので
「1)コスト削減。2)納期短縮。3)品質向上の3項目について、著しく協力貢献頂いた事業者への表彰」
の第1回表彰。

 今回の表彰は金沢市で、マシニングセンタの板金やカバー類を製作の、 株式会社中本鉄工(中本力社長)様への「品質貢献賞」で、表彰理由は
1)ISO9002の取得。2)不良率の大幅低減(過去2年間で年率25%の不良率低減)。
表彰式では同社の中本久専務に、松浦正則社長から表彰状と副賞を手渡されました。


「品質貢献賞」受賞の中本鉄工・中本久専務


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