こんなユーザー No.90
どんなものでも引受けるのが吹野金型の真骨頂(樹脂用精密金型)
金型に携わって半世紀
―株式会社 吹野金型製作所―


会社概要
商号株式会社 吹野金型製作所
創業1973(昭和48)年5月(1978年会社設立)
所在地京都市南区
代表者代表取締役社長 吹野文則氏
従業員14名
資本金1,000万円
事業内容プラスチック射出成形用金型の設計製作販売



吹野文則社長

現在も活躍中のマツウラ製汎用精密立フライス盤
VC-1800型(昭和49年製)

 金型をやるといった以上は、こんな金型は出来ないということは絶対に言わない。 これに応えられるように、とにかく今日まで努力してきました――
と話されるのは、株式会社吹野金型製作所の吹野文則社長です。
18歳から京都の老舗金型メーカー世良製作所で金型一筋に、腕を磨いてきた吹野社長が、
「昭和7年生まれの私の創業は、人生最後42歳の決断でした。 もう遅いのではとの、友人の声もありました。
でも君がやるんだと決断したからには、全面的に協力してやるよ」
と熱い応援を胸に、1973(昭和48)年5月、京都市は久世東土川に金型製造業の吹野金型製作所を独立創業されました。

<25年の経験と信頼が、吹野金型創業の原点>

 同社の創業した直前の1971年は、ニクソン大統領のドルショックが影響して物情騒然とした時でした。
どの産業界も大きなピンチとなり、2年を経て僅かな光明がさしかかってきた時の創業でしたから、吹野社長の苦労が伺い知れます。
それからさらに、その翌年から翌々年には、日本全体に大打撃を襲った石油ショックの、まさに激動の時代でしたから、尚更だったのでしょう。
そんな時代でしたが、吹野社長の世良製作所での25年の経験と信用が、同社の創業とそれからの事業進展に寄与したのでしょう。
吹野社長は話されます。
「創業した時から、材料や消耗品、刃物工具などは、何の疑いもなく電話でお願いしまして、すぐ納品してくれました。
あとで知ったのですが、独立開業したときは普通、現金を持っていかねば納めてくれなかったことを――。
今までの25年の信用が、こんな形で現われた、嬉しかったですね。
その1社が、今でも可愛がって頂いている機械工具商の北出金作商店の社長(現会長)の北出金作さんです。
フライス盤3台、旋盤、ボール盤、研磨機が各1台、そしていろんな工具や刃具など、開業に必要なものを、北出金作さんから納めて頂きました。
これが私どもの創業の原点です。」

<高品質の追求には、より良い設備とそれに挑む心>

 「石油ショックの時なども、創業間もないこともあって、大変厳しい時でしたが、工具や機械類など工場の操業に関わるものは、 殆ど電話ひとつで納めてもらいました。
北出さんには、このように随分、お世話になりました。
その後の石油ショックの時は、鋼材類や消耗品、刃物類なども買うたびに伝票の価格が、上がっていましてね、参りましたよ」
と、創業時代の苦労を述懐されていました。
いらい同社は、1978(昭和53)年5月、株式会社に組織を変更。
金型製作を本業として、樹脂を基本とした精密プラスチック用に絞り込み、 成形からエンプラ(エンジニアリングプラスチック=強化プラスチック)用の焼入型まで、製作範囲を拡大してきました。
「高品質の追求」を、吹野社長の「創業の原点」とされた同社は、
「吹野金型は、創業の一時期は別として、時流に乗り切ったこともあって、ほぼ事業が右肩上がりに伸びてきました。 いつも高品質の追求をしてきましたが、そのためにより新しく効率の良い金型製作用の設備を、 いち早く購入して自分でその設備の能力を充分消化し、吸収して、より良い金型製作を心がけてきました」
と吹野社長は話されます。
1999(平成11)年4月には、新しく工業団地近くに工場用地を求め、鉄骨一部2階建ての工場を新築、全面移転し大きく飛躍されています。
そして今、同社はカメラ部品等の精密金型、家電やOA機器内外製部品用金型、プラスチックレンズ等鏡面部品用金型、 自由曲面形状を含む部品の金型、電装小物部品用金型、ガスインジェクション成形用金型など、 プラスチック射出成形用金型の設計製作に絞り込み特化しています。

高品質金型作りの主要設備として活躍するマツウラ製MC 同社製金型で加工されたプラスチック射出成形品の一部


<20年前のマツウラMC 今も現役バリバリで電極作り>

 同社がマツウラのマシニングセンタを購入されたのも、当然のことながら北出金作商店から
「良い機械は結局、あとあとまで加工精度でも安心して使える。その点、マツウラのMCなら多少高いが、これからの高品質の金型作りには、 絶対に必要な機械だ」
と、今から20年前の1981年に設備したもの。
いらい1990年に1台、そして1998年には高速型のMC-600VF型を設備され、同社主要設備のマシニングセンタは全てマツウラ製。
20年前に購入したMC-500V型も、2回修理したものの、元気に電極づくりの現役としてバリバリ。
また3年前の高速型マシニングセンタについて、吹野社長は
「金型で磨きがいらないという、高速型。 やはり全ての加工が磨き不要とは言えないですね。
加工材質や切削条件、加工物の大きさなどによっては、手仕上げや磨きがいると思う。
要は、金型を作る心を、マシニング加工、放電加工や手仕上げに、うまく組み合わせて製品に仕上げるノウハウと、金型屋としての良心が、 大事なんです」
とキッパリ。
新工場に持てる力を集約し、プラスチック射出成形用金型の製作に絞り込んでいる同社は、 吹野社長の長男で吹野文昌取締役営業部長と、次男の吹野尚則取締役製造部長、中垣幸則取締役工場長のトロイカ体制で、 いよいよパワー全開。
さらなる同社の大きな躍進を期して――。

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