ユーザーを訪ねて No.104
シミズ精工株式会社
―小粒で日本一の企業に―
金属と樹脂による軸受関連部品を中核に――
<オーダーメイド/オリジナルな部品><精密鍛造品や角形深絞り品も手中>


シミズ精工株式会社 SHIMIZU SEIKO CO.,LTD.
本   社大阪市天王寺区
代 表 者代表取締役会長 清水陸郎 氏
代表取締役社長 清水康博 氏
資 本 金7,000万円(平成13年2月現在)
売 上 高51.1億円(平成13年12月期)
従 業 員 数280名(平成13年2月現在)
事 業 内 容ベアリング用保持器および同部品、樹脂成形加工部品、各種プレス加工部品、各種機械等の製造販売
[シミズ精工株式会社 徳島工場]
所 在 地徳島県板野郡
従 業 員 数230名
主 な 業 務ベアリング用保持器、ベアリング用部品、各種自動車部品、電器部品、スベリベアリング、角形電池ケース、レーザー加工品の製造
関 連 会 社滋賀シミズ精工株式会社 SHIGA SHIMIZU SEIKO CO.,LTD.
本 社 工 場滋賀県甲賀郡
代 表 者代表取締役会長 清水陸郎 氏
代表取締役社長 清水章雄 氏
資 本 金3,000万円(平成13年2月現在)
売 上 高19.2億円(平成13年12月期)
従 業 員 数120名(平成13年2月現在)
事 業 内 容金属ならびに樹脂製ベアリング用保持器、ベアリング部品、プレスベアリング、樹脂ベアゼット、リベット、ネジプラグおよびロックナット、各種自動車部品等の製造販売

会長 清水 陸郎 氏
シミズ精工株式会社
滋賀シミズ精工株式会社
会長 清水 陸郎 氏

シミズ精工株式会社
社長 清水 康博 氏
 小粒ながら日本一の企業にしよう――「つねに開発型の会社であれ、という創業者、 清水陸郎会長の企業理念を、わかりやすい言葉で具体的に語りかけているのが、 シミズ精工の社是なんです」と語りかける通り、シミズ精工株式会社とその関連会社、 滋賀シミズ精工株式会社は、常に時代の一歩先を見透かす開発・提案型企業として大きく躍進されています。

 この社是をうけて、会社の経営基本方針も平易で、具体的に、

1.得意先が安心して使用できる製品をつくる
2.取引先が喜んで取引が出来る会社にする
3.社員が進んで働く会社にする――と標榜しています。

 この社是と基本方針をもとに、シミズ精工は、自動車や各種産業機器などで、 不可欠なベアリング保持器(リテーナ)をはじめとした、ベアリングの周辺関連部品を開発、製造してきました。
そして今、ベアリング業界でも素材や加工技術の高精度化、高付加価値が求められ、 基礎ならびに応用の両面の技術が不可欠になっています。
そんな中で、同社は、金型技術や金属プレスの高精度化を図り、一方では組立や樹脂成形、切削、 溶接などの広範な新しい技術を駆使して複合化をすすめ、製品の価値を高め続けています。

 また、ソフトとハードの両面にわたる、技術の新しい提案の出来る企業を目差し、製品の開発と加工や製造方法にも、 新しい工夫とアイデアを全社あげて積極的に取組んでいます。
そんな積極かつ果敢な企業活動を展開中の、シミズ精工株式会社徳島工場様を、この2月中旬に訪ねました。


<軸受け関連部品の金属製品とプレスの徳島工場、樹脂製品を中心とした滋賀シミズ精工>

シミズ精工・徳島工場
シミズ精工・徳島工場

 同社はもともと京利工業株式会社として、運営されていたものを、1969年に3つの会社に分社(プレス機械の京利工業、 電子部品の日伸工業、ベアリング部品のシミズ精工)されたものです。

 同社は、そんな経緯の中から、1969(昭和44)年10月に設立。
大阪市の本社は、営業と財務などの管理部門が、分社と同時の徳島工場では、主として金属製のベアリング関係の部品、 各種金属製品や各種自動車部品、そして最近では携帯電話用角形電池ケースなどの生産を担当。
関連会社の滋賀シミズ精工株式会社は1972(昭和47)年9月に、滋賀県信楽町に設立。
主材料を樹脂に特化した製品を中心として、ベアリング関連部品や自動車用各種部品などの生産を担当。
そして、徳島工場の近くに、徳島と滋賀の両工場の生産合理化のための、機械装置などを設計・製造する、
板野工場を1992(平成4)年12月に建設。
この有機的な事業部門の担当により、同社の常に一歩リードした開発・提案型への事業が展開されています。

 青は藍より出でて藍より青し、藍なしでは徳島の歴史は語れない――と言われた、 徳島は藍の主産地であった藍住町の中心に、同社徳島工場があります。
同工場の特色は、ベアリング用保持器を主とした金属プレス製品を金型設計から生産まで、一貫して出来る工場。
主要製品は、金属製ベアリング保持器が1,500万キット、ベアリング用プレス部品200万個、自動車用プレス部品200万個、 携帯電話用などの角形リチウム電池用ケース400万個、スベリベアリング10万個など、多岐にわたる小物精密部品などの生産能力を今、 フルに発揮し稼動させ、生産しています(いずれも月産ベース)。

 同社徳島工場長と板野工場長を兼務の長尾繁信取締役は、次のように話されます。
「私達が手掛けているベアリング関連の部品を、この10年間で比較すれば、精度面で2〜3倍以上の高精度を要求され、 清浄度など10年前にはなかった、いろいろな付帯条件を付けられた上に、価格は30%以上の引下げです。 実質的には生産原価で換算しますと、1/3〜1/5のコストで仕上げないと儲けは、ゼロという状況になっています。」
「受注生産が100%のカンバン生産に対応した、注文量が日々変わるので、うまく、いかに採算と生産で対応するかが、私達に課せられています。 最近の事例では、角形深絞りによる鋼板の加工を特徴とした角形電池ケースなどは、当社の研究開発による金型設計、 金型加工、プレス技術で実現したものですが、昨年秋に月産100万個単位の受注から、50万個に減り、翌月にはモデルチェンジ含みで、 受注量はゼロ。しばらく中止と言われるなど、大きなフレです。」
経営基本方針


<日替わりメニューで変種変量の対策は、マツウラのFX-5とTA800ターナリで>

 長尾繁信取締役は、これほど凄まじく変化する受注量を、いかにロスなく付加価値をつけて生産するか、 その対策を
「正に世の中、日替わりメニューで変種変量です。私達のスタンスはもともとから、いかに早く安く良い物を作るかでした。
特に我社には、複雑な形状のもの以外は仕事がきませんしね。さらに例えば、3つの部品の機能を1つの部品に出来ないか、などとの注文もしょっ中です。
そして今、ITがらみの仕事が多くなったこともあって、短納期、低コストが加速してきました。
そこで私達は、いろいろ工夫し知恵を絞り、万全の対策として、マツウラの新しい思想による超高速切削加工のMCを8年前に、 そして昨年から今年にかけて切削、研削、磨きの3つの加工が出来るターナリーMCを徳島と滋賀に、同時平行して新設したんです。
日替わりメニューで変種変量の受注と生産には、この新鋭戦略機種が大きな力となってくれています。」
と話されます。

 特にマツウラFX-5型導入をした切っ掛けは、「焼入れ鋼を仕上げたい」という一念だったとか。
ベアリング用リテーナの曲面の球状加工を、一発で出来ないか――という同社のニーズが、FX-5型で可能に。
「とにかく固い材料をピカピカに仕上げることが出来る――という試し削りで、購入を決めたのは、初物大好きの清水陸郎会長。 徳島だけでなく、滋賀でも設備しろと、即決でした。これは、インゼクション用金型に使うことにしました」と長尾取締役。

 また、マツウラのTA800のターナリーMCは、IT関連の加工に「3次元の加工をする、新しい技術で対処したい――」とのニーズから、 「プロファイラーのNC付だけでは、私達にとって面白くない。 何とかして人間の手作業のない機械がないものか、と3〜4年前から社内でいろいろ検討していました。 昨年夏に、マツウラさんに無理をいった、ターナリーMCへのトライしたテスト加工品が、たまたま幹部研修会で披露され、 徳島と滋賀の工場に同時購入が、即決でした。 ここでも我社の創業いらいの企業理念が生きていたんでしょう」
と、新しい生産技術と開発型の会社であることが、常に実践されていると話されたのが、徳島工場技術部の早原昭義部長です。
滋賀シミズ精工・本社工場 滋賀シミズ精工・技術工場 滋賀シミズ精工株式会社 社長 清水章雄 氏
滋賀シミズ精工・本社工場 滋賀シミズ精工・技術工場 滋賀シミズ精工株式会社
社長 清水章雄 氏


< FX-5とTA800の新設で、焼入鋼の加工は万全!>

 徳島、滋賀の両工場が、FX-5型MCを設備されたのが、8年前。
いらい、両工場のFX-5型は、従来1日14.5時間を100%の分母として計算していた稼働率が、「125〜135%の稼働率となって、 分母を24時間に修正したほど」の高稼動ぶり。
「お陰で生産現場では、焼入鋼のカタマリを持っていれば、予備を持たなくても、すぐ金型などが供給できる体制も出来ました」
と話される早原昭義部長。
超高速の金型加工は、8年前は勿論、今でも「加工方法や機械そのものに、少々の問題はあったが、当初計画した以上の効果は、私達が実証ずみです。 FX-5の設置で、3〜4台の研磨機は不要になり、処分しました。」と付け加えられました。

 昨年暮れから今年初めにかけて、両工場に設置し稼動に入った、TA800ターナリーMCも、
「当面3次元の金型加工をしたいと思っていますが、放電や研磨でやっていたものを、一発で仕上げられるような使い方をしています。 FX-5型を含めた2機種のMCは、使い方によっては能力が、まだまだあるはずです。 今現場で、いろんなトライをしているし、しようと思っています。 特にターナリーMCは、可能性がある何ヶ月か後が楽しみです。」
と顔を綻ばせて異口同音に話された、長尾取締役と早原部長。
大変味わい深く、印象深いものがありました。


<機械の能力がいくらあっても――!>

マツウラMC
シミズ精工徳島工場と滋賀シミズ精工・本社工場で同時に稼動中のマツウラMC

 徳島工場の訪問で、貴重なノウハウを話された、長尾取締役工場長から、同工場を離れる際に、メッセージを頂きました。
「機械のオペレーターとプログラマーは、別人にしないと効果は出ないよ。 作業者は過去の経験の範疇を抜け出せないから、この脱出をプログラマーの後押しによって解決させたいね。 これが同じ機械で生産性を向上させる秘訣」と。
「それは機械の能力がいくらあっても、オペレータの使う能力がなければ、その機械は使い切れないということなんだ――。」


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