こんなユーザー No.87
蒲田で磨いたノウハウで
あらゆる素材の精密機械加工を!
光学、IT産業関連などの試作分野で活躍する
有限会社 安孫子製作所



有限会社 安孫子製作所
安孫子一夫社長
 「蒲田の職人は独立することが一人前になるということ―」だと、ど強烈な言葉が飛び出したのが、今から29年前、ちょうど30歳で創業された、 有限会社安孫子製作所の社長、安孫子一夫さん。
山形生まれ、身一つで埼玉県のこの地へ訳あって転居、地元の中学校を卒業後、15歳で蒲田の機械加工の町工場で腕を磨いた、 安孫子一夫社長はこともなげに話されました。


大田区蒲田で腕を磨き、創業した安孫子製作所

 「蒲田の町工場で腕を磨くつもりだから、5〜6回は転職したかね。だって、同じ所でいろんな仕事はさせてもらえないだろ。
使った機械は旋盤、フライス盤、ボール盤、研磨盤などあらゆる機械、そして扱った材料はアルミ、鉄、軽金属などあらゆる素材を、 あらゆる機械で加工し仕上げをしたんだ。
と、今は言えるけど、就職した昭和30年当時は、飯炊きや掃除は勿論、モーターや機械の油差しまでやって、残業は毎月100時間以上、 休日は月2回で、給料が2000円足らず。
給料のこと言ってたらとてもやれなかったよ。だって、蒲田は独立するために行ったんだから。
今の若者のような損得計算などしていたら、とても一人前にはなれなかったろうし、独立も出来なかったと思うよ。
そんな苦労があるから、この厳しい世の中でも、何とか人様に迷惑かけずやっていけるんだ。」


仮眠、仮眠の連続で仕事をこなした、雪だるま式に増える借金を抱えながら

 1970(昭年46)年に、親類や同級生などから借金をして創業したのが、納屋のひさしを借用した5坪ほどの工場。
小型3尺旋盤と卓上ボール盤各1台で始めた仕事は、蒲田の職人時代からやった光学関係のもの。
前後の見境もなく、とにかくガムシャラにやりこなした創業時代。
でも蒲田時代に培ってきた人脈と、光学部品を加工してきた技術と技能が、大いに役立ったようです。

 「俺の元手は一銭もなく、すべて借金。でも3−4年の間に稼ぎまくって、とにかく残った現金が2000万円余り。
税金を払うことも知らなくて、ええ、その付けは後でしっかり払わされましたが―」と話す安孫子社長。

 その後は、商売がそんなに甘くないことを実感されたようです。
「仕事がドンドン増えるので、住んでいるところも畳を上げて土間にし、機械を増やしていったから、眠るところもなくなり、 いつの間にやら借金がどんどん雪だるまのように増えだした。
さらに眠る暇もなく仮眠、仮眠の連続で、仕事をこなした。でも、仕事の心配はまったくなかった」
よしで、ペンタックス用鏡筒パーツの二次下請けなどを始めとして、光学関連の仕事が増え続けたようです。


なんとしても客先からの要求だけは間に合わせる、明日納めろといわれても!

 しかし、蒲田時代に知らぬ間に身体で習ったことなのか、試作や治具など単品仕事を得意として引き受け、 量産物は単価や納期面でどれほど良くしても、絶対に引き受けないことを経営哲学にされてきたようです。
安孫子社長は、さらに話されます。

 「ウチにはなぜか知らぬが、訳わからぬルートから、訳のわからぬ仕事が、それも光学関連なんだが、入ってきてね。
この傾向は今でも続いてるんだ。俺は中学時代から手先が器用であったためか、何をするにも手早く終えることが出来たんでね。
今、流行のIT産業がらみの、光ケーブルのコネクタ(いわゆる接続部品)の試作品が、何時の間にか入ってきており、 将来の伸展に期待しているんだ。
ただ、お得意先は10−20社内外に絞り込み、取扱量も全体の10%以下でおさえている。
それから単価の高いものは、出来るだけ遠慮しているのも、ウチは、仕事は幅広く、浅く、 少しづつ広く仕事をすることをモットーにしているからだ。
しかし、今日持ってきて明日納めろといわれても、とにかく客先の要求だけは間に合わせている。
だから、その日暮らしで、3日後の仕事が無いことも有るが、でも翌日にはなぜか、ちゃんと仕事が来るんだよ。
ウチみたいな工場が、仕事のより好みを、するのはどうかと思うが、俺の性分だからね―。」


マツウラMC、良くなかったらこれほど買わないよ―

 同社は光学と自動車の、小物精密部品加工が主要取扱い品目ですが、現工場が7年前、増築工場が3年前におのおの新築されました。
東松山・本庄・熊谷など大規模工業団地へ1時間以内の距離と、重宝な位置にあるところだからです。
強烈な安孫子社長の個性そのままに、同社は元気に活動されています。

 そんな安孫子社長の目で選択された、マツウラのMCをどのように、評価されているのでしょうか。
安孫子社長は語ります。
「今は大変便利で、重宝な機械になった。それを俺達が、段取り良く、うまく動かして仕事をさせるかで、その点マツウラのMCは意外と良いと思う。
良くなかったらこんなに買わなかっただろうよ。
これからは高速、微細、そして5軸加工という傾向は大いに期待できるし、その点マツウラの発想は、他社を一歩先に進んでいて嬉しい。
しかし、機械加工の職人は、汎用機でいかに仕事が出来るか、応用できるか、段取り良く出来るかだと思う。
昔とは違うが、努力し勉強する者と、しない者との差が大きく出るように思う。その差を俺達は、しっかり見つけて悪平等にならないように、処置しなければね。
その点、結局のところ、企業は人だと思うよ。俺は毎日、社員を募集している。面白いもんで、腕は出来ても人間が出来ていない者は、何時の間にか辞めていくもんだよ。
周囲にあまり悪影響を与えるような人間は、まず駄目だね。」


 個性豊かな同社、安孫子社長と約2時間の取材で、最後の言葉は、さらに大きなインパクトでした。「会社経営も金があっては駄目。スリル満点で金がなければ、経営の迫力が違ってくるよ。
あまり金を残さずに、迫力ある仕事をしなければ。そのために、俺は大いに仕事をし、たばこも酒も飲むんだよ。
微温湯(ぬるまゆ)につかっているようなこの世の中は、駄目だね。このままでは腐ってしまう。
腹を据えた迫力が、一番大事だと思うよ。迫力を忘れては人間終わりだ―」

MC-800VF RA-3GII
安孫子社長のおスミ付き!
精密機械加工をサポートする、マツウラMC



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