だって春ですもの――

 毎年3月6日頃は、二十四節気の一つ啓蟄(けいちつ)。冬眠中の虫が春なので、のそのそ土中から這い出す季節。
背伸びしながら、いよいよ春本番という大自然の動き。
自然が目をさまし活動を大いに始める頃。そうです春です。鳥は唄い草木や花は芽吹く、そんな春なんです。

 こんな大自然の動きを、早くも先取りしているのが今、もっとも注目されている「ネット社会」とか「ネット経済」。まさに春爛漫そのものですね。
ネットなる言葉を見たり聞いたりすることが、日常茶飯事となった今、インターネットに代表される情報通信革命が基本のネット。
おぼろげながら理解しても、何かがおかしいという、もどかしさがあります。

 例えばITがらみの株価、略してネット株価です。昨年初めに260万円だったヤフーが、何と今や1億5千万円ですよ。
もう説明が出来ない水準まで、上昇しています。専門家は「ITも今が春。芽を吹いたばかり。 これからが楽しみな夢を見れるんです。株価はその先取りの現象なんです」と。つまるところ、夢を買い求めているということでしょうか。

 少々行き過ぎとは思いますが、これが今の常識だとしたら、大変なことになりそうです。昔の常識派にとっては──。
若者が食費や服飾費を削ってまで、携帯電話などの通信費に使っている図は、まさに「ネット中毒」そのもの。
熱しやすく冷めやすい、日本人の特性かも。
 「これは大変だ」と大声を上げたら、目が覚めました。春眠暁を覚えず。
変な夢など見ずに鼻歌でも唄いながら、春を満喫したいですね。だって春ですもの──。  


前画面へ戻る