松浦共栄会19期定期総会('99年11月22日開催)
世界情勢をテーマに2000年を予測・・・

定期総会

 マツウラのマシニングセンタ製造用材料や部品などの納入業者、 並びに下請関連協力工場など主要68社で組織している松浦共栄会(会長はツチハシ社長の土橋信夫氏)は、 昨年11月22日第19期定期総会を開催しました。
総会は土橋会長が議長となり第18期事業報告と収支決算報告、並びに第19期事業計画案とそれに伴う収支予算案の承認について、 それぞれ原案通り承認可決。
また本総会で任期が満了となる会長並びに副会長、役員、監事の計9名の選出に入り、いずれも現任のまま留任することで承認、 可決され総会は終了しました。
(再任された役員は別掲の通りです)。

 引き続き、特別記念研修として経済と、現今の世界情勢をテーマとした二つの講演会が開催されました。
15時15分から約60分にわたって、元NHK経済担当解説委員で日本記者クラブ会員の、山田吉孝氏が「経済:見たり、聞いたり、 怒ったり」を第1講で、16時30分から約60分にわたって、松浦正則社長の「世界市場の急速変化を考える」と題した第2講でした。


第1講 「経済:見たり、聞いたり、怒ったり」

        元NHK経済担当解説委員 山田吉孝氏

  1. 当節、腹立ち噺……経済ジャーナリストが、落語家の気安さ風で話したい。
    現役時代のラジオ番組で、6.5分間の経済コラムを担当したテーマが「見たり、聞いたり、怒ったり」。
    何でもありの今、4項で考えたい。政治は自自公の保守大同合併が本当にこれで良いのか。
    教育では、人間が人間として生きていくという基本が殆どなくなっており、人格形成すら出来ていない、これで良いのか。
    ベンチャー支援、役所の傘をきた仕事の斡旋などナンセンス。
    ベンチャーというより企業経営の根幹に、スポットを当てないと。
    過去は自力で工夫し努力してきた、これで良いのか。
    そしてアメリカの政治・経済の奥深さと不思議さと強大なパワー、これをそのまま安心して良いのか。
    以上、これら4項目を見ても考えれば考える程、腹の立つことばかりである。

  2. 東京から見た福井……東京の地方知らず、地方の東京知らず。
    福井の理解としては、原発と越前がに、越前そばだけ、とはさびしい。
    だから福井から乾坤一擲、社長が人口割で一番多いのか。

  3. 工作機械業界について……全くの専門外だが、日産ショックによる大リストラが影響し、多少の設備投資は金型のみ。
    受注は底ばいで採算割れと、傍目八目的な残念なコメント。

  4. 景気・経済について……’99年1〜3月で底を打ったと見ている。
    ただ軟弱地盤が少々、カンフル注射をうって固まりつつあるようだが見せかけに注意したい。
    最近は、取引先同士がお互いに相手を信用しないため、延べ現金の決済が流行している。
    金融と経済が少々、マシなのは東南アジアが元気なことだが、世界中の浮気性のある資金が戻ってきただけ。注意したい。

  5. 金融破綻・再編について……2001年4月にペイオフが実施される。
    実際は、それまでに地域金融機関の再編があるから、その取引先である事業会社の経営は、どうなるか、気がかりなところ。
    山一証券や日本債券信用銀行の破綻と同じくらいのショックが、日産リストラにも出てくることに注意してほしい。
    金融機関とその仕組みの再編、第一幕から第二幕へ。

  6. アメリカのやり方……グローバルスタンダードというより、アメリカンスタンダード。
    アメリカの実態経済は相対的に強いが、借金体質に変わりなく問題を内包している。
    イギリスやアメリカで作られた、あらゆるモノやルール、システムは日本が受入れざるをえない。
    そして最も注意したいことは、ダン&ブラッドレー社と聞き慣れない会社の存在である。
    格付会社ムーディズの親会社として、世界500万社以上のデータベースを囲い込んでいるという事実は、 これからの情報通信が基本となる、あらゆる経済取引や産業などにとって、空恐ろしい武器になることと心得たい。

  7. 今はどんな時代か、ポスト・ミレニアムは……黒田精工の社長が言われた
    「物作りの生きる道は、 生産国名でなく生産会社名で作り、販売することに意義がある。生き延びるには、オンリーワンをどう活かすか。
    国内でなく海外で活かせるか」
    に、意義深い言葉が隠されている。


第2講 「世界市場の急速変化を考える」

        株式会社松浦機械製作所社長 松浦正則氏


  1. この1週間前にアメリカ出張から戻った。マツウラ製品の全米販売代理店メソッド社が、 10年ぶりに21世紀をターゲットとして、本格的な大規模ホームショーを開催し、そのホストで参加したもの。
    11月初めから10日間にわたったホームショーは、マツウラのマシニングセンタ20数台を中心に、 NC旋盤とドリルセンタなどIMTSのブース規模をしのぐ60台を出展、大盛況となった。

  2. '98年秋のIMTS以降から、米国は大きな受注落ち込みとなり在庫調整を余儀なくされたが、 そんなアメリカ経済や産業は、どんなになっているのか、つぶさに調査することも今回アメリカを訪ねた目的であった。

  3. 年初2.6〜2.8%成長と予測していた米国経済だったが、実態は4.6〜4.8%以上となって、専門家は顔色無し。
    何故これほど伸びたのか。それは人口動態が活力あることでこれらが個人消費に大きく結び付いているのが、一つ。
    二つ目はインターネットをベースとした情報通信革命により、生産性と市場性とのメカニズムがしっかり社会生活に組み込まれ、 コストが上昇しない仕組みになっていること。
    三番目は、米国通貨のドルが世界の基軸通貨であること (この項については、マツウラNEWS!平成11年11月号シングルorダブルを参照)。

  4. 米国は完全な財政黒字。堅調そのもの。ただ高株価が、もし低落した時は大きなダメージを受ける。
    だから米国の関心事は、株価がどうなるかとグリーンスパンが継続するのか、誰が米国大統領になるかの三つである。

  5. 米国の堅調は、日本にとって大変に結構なこと。しかし米国の堅調に対する日本のサポートは、金融面と資金面であろう。
    資金面はダブダブにし、金利はゼロを維持することが日本のアメリカへの必須条件であるとみれば、 今の金融状況に変化はなかろう。

  6. 欧州はコソボも済み、左派系内閣出現で少々おかしな動きも出たが、 ユーロもはかばかしくなく欧州全体としては下方への軌道修正も。
    ただスペインやポルトガルは社会コストが低いため漁夫の利をえて好況だが、 トルコ地震などでイスラム系民族が情緒不安定になっていることから、総じて動きは殆ど期待できない。

  7. 日本の産業と経済は、僅かに動き出したと肌で感じているが、 情報通信システムの構築に注目されている半導体ガラミが牽引している。
    自動車も環境対策のみが元気なだけで、今後は当面、過去のようなV字回復は不可能かも知れない。
    といっている中で、牽引している情報通信関係で、誰も脚光を浴びていると認知されている、インクス社を訪ねた。
    同社は携帯電話の金型を作っているのだが、新しい製品が何と4日に1個の割で開発し作られているという事実である。
    フィンランドのノキア社も素晴らしい技術で世界市場に先行しているが、日本の消費マインドからの開発をみると、 やはり日本は世界一。
    これらは金型は勿論、プリント基盤、半導体そしてソフトウェアなどが、これらを支えているからである。
    情報化投資への動きこそ、日本のこれからかも──。

  8. 先日、東京で開催の国際フォーラムで、20〜30代の日本の若者が、堂々と英語で質問している事実。
    言語が日本のグローバル化を著しく疎外していることも事実との両面的な見方もある。
    それよりも米国で日本のアニメが、健闘しているということも驚きである。
    ポケモンやピカチュウが、米国の子供に大変な人気で、「そんな日本の背景を知りたくて彼らが日本語を習い出した」という。

  9. こうみてくると日本の未来のパワーが、私達が予期していないこんな処にあることがわかった。
    しかし、目先の円高が思わぬボディーブロウとなってくる。
    生き残りをかけた、さらなる効率経営と、コストダウンの努力が必要と思う。



松浦共栄会 新役員(任期は2年)
会長  土橋信夫氏(ツチハシ社長)
 副会長   今村善孝氏(大電産業社長)
会計  岡島和憲氏(エフワイ運輸機工社長)
 渡辺清一氏(松浦機械製作所 専務)
役員  西村明氏(ニシムラジグ社長)
 奥田篤氏(奥田精工社長)
 宇野秀昭氏(宇野歯車工業社長)
 坪田正武氏(ジェスクホリウチ部長)
監事  宮下英夫氏(三興電機製作所社長)


前画面へ戻る