No.156 個の力と組織の「遂行力」 2010(平成22)年1月号掲載


  明るい話 題はあまり多くない昨今ですが、今年は世界最大のスポーツイベントであるサッカーのワールドカップが南アフリカで開催されます。
 日本は、オランダ、カメルーン、デンマークと同じ一次リーグE組に入りました。正直、公式戦ならどの国であろうが勝てば金星と呼べる相手だと思います。
 代表監督の岡田さんは「ワールドカップでベスト4に入って世界を驚かせる」と言って先ずは日本のサッカーファンを驚かせたのは記憶に新しいところです。

 さて、ベスト4ならば予選グループは抜けて当然なのですが、組み合わせも決まり各大陸予選を勝ち抜いた強豪国と相対すると超えなければいけない高い壁が眼前に現れます。
 如何に掲げた高い目標に到達するのか?その手法は?その具体的なプランと遂行力が問われています。

 日本に対して、組織的な戦術は長けているとの一定の評価はあるようですが、一方で準強豪国にも善戦・健闘はするのだが勝利には至らないのが常だと言われます。
 決定的なここぞという場面で個の1対1の攻防で負けてしまい、得点に至らず、逆にそういう場面で失点を喫してしまう。ここ数年その繰り返しでした。
 勿論、結果を出す為に合理的な戦術や組織は必須です。
 しかし、突き詰めていくと局面の打開は個人の力の差がものをいう分けで、ドリブル突破からのシュートも個人の力なら、周囲との連携を活かしアイデアとスキルを発揮させるのも個人の力です。
 フォーメーションや試合前の決めごとなどは、所詮事態が急変する現場や前線では補完的なものに過ぎません。

 転じて会社組織の話になりますが、机上で組織をロジカルに合理的に編成していくのはそれ程難しいことではありません。
 しかし、難しい局面で本当の問題解決を実行する為には、闘将のように体を張って戦う者、相手を沈黙させてしまう程の鮮やかな技術を発揮する者 、こういう本当に力のある個が存在・連携していくことが非常に重要になります。

  先ずは個の力、自分で描いたビジョンを具現化していく力を上げることが肝要です。そうすれば自ずと組織としての「遂行力」がついてくるように思います。

 日韓ワールドカップが開催された2002年は、不況から好況へ抜け出していくターニングポイントになった年でした。
 8年経過した本年2010年にも同じような経験が出来るよう願いつつ、個々の力、組織の「遂行力」を更に磨いて参りますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。