No.140 自然と共生 2006(平成18)年3月号掲載


 昨年12月に入って、大雪に見舞われ、全ての交通のアクセスが出来なくなり、特にJR北陸線のマヒ状態には、私の子供の頃とは、ひ弱になったのではと感じた程です。
38豪雪、56豪雪に劣らぬ20数年振りの冬を迎え、雪の為に亡くなった人達が100人(全国)を越えたことにも、自然の恐さと、人間の弱さを考えさせられました。
そして地元の年賀会で次の様に話され当惑しました。
「松浦さん、今度の雪の被害が大きかったのは、県や市町村の除雪対策が、これ迄暖冬であった為に、対応が遅く間に合わず、私達の物流も2日も止まって、 大変な被害を出して、大いに困ってしまいました。 松浦さん、貴方は知事や市長と親しくされておられる様ですから、もっと県・市等が素早く対応する様に言ってくださいよ」と言われたことです。
幸い福井地域は、その後3日前後の周期で晴間もあり、物流の動きも最初は滞っていましたが、その後は何とか間に合い、 太平洋側とは違いますが、それなりの対応がなされたことは幸いです。
しかし考えさせられたのは、雪国に生まれ雪国に育った人達が、冬に雪が降ることに不満を持ち、それを他人事の様に考えているのには、些か不安を感じました。

 自分にとって、うまく運ばないのは、公共団体や他が悪いと決めつけ、いつも自分中心に物事が成立つのが当り前と思っているとしたら大変です。
今の世の中、自己中心になりすぎ、あらゆるものが人間にとって快適で便利に仕組みや物に作り上げた為に、自然を意のままになる、したいと思っているのは、大変不遜なことではないでしょうか。
雪が降るのが当り前で、1〜2日遅れても動揺や不満を持たず、自然に回復するまで待つことが、自然と共生する一番大切なことです。

 私達は科学技術を基盤に人間にとっての「幸福」の二文字に注力し、自然破壊をしすぎたのではないでしょうか。
人間にとって幸せを求めることも大切ですが、自然に対しても謙虚な気持ちで、生かされていることに感謝し、共生することこそ、ISO14001の精神でしょう。