No.139 2006年の見通しは 2006(平成18)年1月号掲載


 我国の景気は2001年1月から48ヶ月上昇を続けており、バブル景気51ヶ月、いざなぎ景気57ヶ月を超えるのは、もう目前であると予想する所でしょう。
その中で工作機械業界は2002年1月から上昇を始めており、我社では同年4月に米国市場から回復し始めたのです。
そして一昨年、昨年と同様に今年も1兆円を越すのは間違いないと社団法人日本工作機械工業会の予測です。
しかし昨年EMO2005でドイツ人から指摘されたことが気になってしょうがないのです。
それは日本メーカーの機械が自動車産業向けに、なり過ぎているのではと言われ、同じ大きさ、同じ顔になっていると批評されたことです。
「若し自動車産業の成長が止まったら、どう対応するのか」と重ねて問われ思わぬ視点を知らされた気持ちでした。
言われてみれば、そう見えるに一理あり、逆にそれを強みにしているのが、我工作機械業界ではないでしょうか。

 その自動車業界では大変ことが起きており、米国のGM、フォード社が大赤字であり、今年はリストラの連続で遂に世界トップをトヨタ自動車に明渡すのではと言われており、同社の躍進振りは驚異的です。
トヨタ生産方式が「ものづくり」のデファクトスタンダードと認められ、技術的にもハイブリッドシステムで最先端を極めており、それを支える我業界にとっては力強い話です。

 これから懸念されるのは、ビッグ3が世界トップを降りた時の米国の政治的圧力が気になり、その上、 住宅バブルの終焉、バーナキン新FRB総裁の手腕への不安、円/ドルの価値が逆転する不安です。
さらにはその上ヨーロッパ特にフランスの移民グループの暴動、中東地区の不安定、そして中国の覇権への執念の顕在化等、少しづづ流れが変わっている感じがしてなりません。
これからはグローバル化が急速に進む中で「考えられないことを考える」が大事ではないでしょうか。