No.137 象
2005(平成17)年10月号掲載
先日、12歳でタイへ留学して象使いになった、実在した少年の人生を描いた映画「星になった少年」を鑑賞しました。
少年が、象の”ランディ”の調教に悪戦苦闘しながら、次第に象に愛情と情熱で、タイの象学校仲間も認める若き象使いに成長する姿や、象との心の交流に感動した次第です。
ところで、象と福井県には意外な関係がありました。
日本で初めて象が来た町は、福井県の南に位置する小浜市だったのです。
小浜市民憲章前文に次のように書かれています。
私たちの小浜は、
日本ではじめて象が来たまちです。
水と魚や野菜が一番うまいまちです。
京や奈良の都へ文化を伝えたまちです。
時代の先駆者をたくさん生み出したまちです。
文献によると、今から600年前の応永15(1408)年6月20日に、室町幕府の将軍足利義持への献上品を積んで、南蛮船が若狭小浜に渡来したとあります。
その品が、黒象1頭をはじめ、山馬1頭、孔雀2対、オウム2対などでした。
生きた象は、この時初めて日本に上陸したのです。
当時の人は、仏教絵画で象は白いとの認識があり、黒い象を見て、ひどく驚いたことでしょう。
現在その象を繋いだとされる岩”象つなぎ岩”が残っています。
上陸した象は、京都へ運ばれて行きましたが、その後どうなったかは不明です。
この南蛮船は、対馬暖流にのり日本への上陸をはかったものと考えられています。
福井県は、海を渡ったシルクロードの終着点、みやこへの中継地としての姿が浮かび上がります。