ユーザーを訪ねて No.145
自動車部品から航空宇宙関連部品まで、量産から多品種変量生産まで、あらゆる生産に対応できる
株式会社曙製作所



株式会社曙製作所 概要

所在地〒441-3147 愛知県豊橋市大岩町字前田40-8
 TEL
 FAX
0532-41-6371
0532-41-6373
代表者代表取締役会長 竹内 邦夫
代表取締役社長 永井 征司
創業昭和44年
設立昭和53年
従業員45名
生産品目自動車関連、半導体製造装置関連、航空機宇宙・特需関連、一般産業関連

▲本社工場



 今回のユーザーを訪ねては、豊橋駅から車で南東へ30分ほどにある株式会社曙製作所を取材しました。
 竹内邦夫会長の指示で、永井征司社長から製造部の担当まで含め7人が出席した座談会形式となりました。
 創業者は竹内会長です。竹内会長の実家である高津産業(飼料製作)の鉄工部として昭和44年に豊橋市曙町で創業されました。
 会社ロゴマークのMは英語の製造を意味するManufactureの頭文字のMを表しています。 またマーク内にある○と△はモノづくりを象徴する幾何学図形、さらにマークの左側はAに見え、曙(あけぼの)の頭文字Aを表現しています。
 「会社名の曙は創業の地“豊橋市曙町”に由来していますが、地名だけでは夢がないので、夜が明けていく意味も重ねています」と竹内会長。
 社名にも技術にも“こだわり”に溢れている企業風土です。

工場全景

▲後列左一人目が竹内邦夫会長、前列左二人目が永井征司社長


自動車部品から航空関連部品まで

 「創業当時は、加工素材の切断からスタートし、自動車部品の加工を経て発展してきました」と当時を語る竹内会長。
 「社員の育成と技術力向上のために難易度の高い仕事をしたかったので、自動車部品から複雑な加工が必要な産業、鉄から非鉄または難削材に挑戦を続けたところ、半導体・航空宇宙産業など最先端分野に業務が広がっています。その経験が、あらためて4輪の自動車部品にも活かされており、良い相乗効果があります」と竹内会長。
 同社の技術力で、電波天文衛星<はるか>の部品、国産初ヘリコプタ用エンジン(TS-1)のハウジング部品、民間航空機主翼構造部品、燃料電池自動車部品など最先端部品も受注生産するまでに至っています。


製造技術と生産技術

 同社では年間1個の部品から、月産60万個の量産部品までを手がけています。
 この量産部品は今までに2,800万個を納入していますが、不良ゼロを継続しています。
 「1個の部品を作るのは生産技術、量産を安定して継続できるのが製造技術。私は生産技術を永井社長は製造技術を担当してきました。当社はこの両技術をミックスさせています」と竹内会長。
 「安定した良品を作り続けるのは難しい。日本には梅雨を含めて5季があり、環境が変わります。単品は機械と職人が作るが、量産はシステムで作ります。単品は品物で保証します。量産品は条件で保証しないといけません。常に同じ条件なら同じものができますが、油の温度等あらゆる条件をモニタリングする必要があります。そのシステムを作るのが製造技術です。」と永井社長。
 第2工場が自動車関連部品専用工場で、専用機が主力で24時間フル生産が行なわれています。


TPM実践研(全員参加の生産保全)による人材育成

 同社の経営理念に「市場ニーズに応える技術者と人材の育成」があります。40人の社員で量産と多品種生産を行う為には臨機応変に対応できる人材の育成が鍵となります。
 「10年間問題解決とTQC(全社的品質管理)を指導会的な形での育成を行ってきました。現在考える社員の育成を目的に月に1回TPM実践研という会を自主参加で開いています。学ぶだけでなく実践しないと人は成長しない。現在TPM実践研が人材育成の柱となっています」と永井社長。

 同社の得意とする加工技術に手研ぎバイトを使った加工があります。手研ぎバイトとは旋削加工に使用する工具で手作業で作成します。
 刃の形状の設計、また加工とも熟練した技能が必要です。半導体関連・航空宇宙産業では、難しい加工が要求され、例えば針状の溝加工要求もあり手研ぎバイトを使って見事に完成させています。
 「技術屋は、加工中に機械と会話しています。どんな状況なのかイメージして、切削条件や刃先の形状を変え、切削の音を聞いて気持ち良い加工をすることで高精度を実現出来ると考えています」と竹内会長。
 竹内会長、永井社長のリーダーシップで、全従業員が“考える人材”となり成長し続けています。


MAM72-3VS」3台を設備

 同社は3台の5軸制御立形マシニングセンタ「MAM72-3VS」を設備しています。1台目は平成12年4月に設備しました。
 当時担当の楠田泰弘課長は「当時の工場では多品種少量生産で段取り換えが毎日あり、その度に機械を止めました。MAM72-3VS を見て40面パレットなので治具を常設でき、段取り換えで機械を止める必要がなく、多品種少量生産に最適な機械である」と感じたそうです。
 当初は立形マシニングセンタに4連インデックスを搭載した機械を検討していました。
 加工対象ワークは1個加工するのに15工程あり段取り時間が80時間かかりました。このワークは年に4個20年間仕事があるものです。
 20年間で大変な無駄コストが発生する計算になります。
 MAM72-3VS 導入後、同機で加工すると5工程に集約でき、また多面パレットと豊富な工具本数で段取り時間ゼロと飛躍的に生産性を上げることが出来ました。
 2台目は2年後の平成13年6月に設備。そして3台目は平成22年6月に設備しました。
 1号機、2号機は油性の切削油を使用しステンレス材を加工。3号機は水溶性の切削油を使いアルミ材を主体に加工しています。


MAM72-3VS


夢を形にできる機械・マツウラ通り

 「MAM72-3VS の第一印象は、使う側の技量があれば、夢を現実で出来る、夢を形に出来る機械と感じました」と竹内会長。
 「マツウラのお陰で切削に関して勉強になりました。条件、加工方法などマツウラの提案は当社より上であり、機械を良く知っていると実感しました。将来、MAM72 を6台並べて工場内にマツウラ通りを作りたい。その為にもまだまだMAM72 の性能を活かしきれていないので、今後も支援をお願いしたい」との言葉を竹内会長より頂きました。

 工場では3台のMAM72-3VS が整然と並んでいます。
 同機では、2面パレットしか使用しない加工があり、通常の使い形では2面パレットとも加工が終了しないと加工終了を知らせるパットライトが点灯しません。
 これでは使い勝手が悪いとのことで、3台目のMAM72-3VS は、特殊なMコードを作成しました。
 1面パレットの加工が終了した時このMコードを指定すると、黄色パトライトが点灯して段取り換えを作業者に知らせる工夫がされています。
 お客様のご要望でマツウラも進化させて頂いております。


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