会長 松浦 正則


【テレビは生もの】

 仁川(インチョン) 国際空港では、航空貨物における韓国企業のサムソン電子、LGエレクトロニクス等のテレビをはじめとする家電製品の取扱量が、世界市場への供給のため急増しているそうです。これには驚きました。
 これまでの常識では、よほど緊急でない限りは工業製品の運搬は船便を利用するのが常です。
 航空便は便利でもコストがはるかに高いため、利用には二の足を踏んでいたからです。

 この急増の背景には、二つの要因が考えられます。一つは在庫ゼロ目標、もう一つは継続的な技術革新への対応です。

 デジタルネットが急速に普及したおかげで、世界各国の市場の売れ行き情報が詳細に、しかもリアルタイムで入手でき、商品を必要な時に必要なだけ、いわゆるジャスト・イン・タイムで入手できるようになったことが大きく影響しているようです。
 不要な在庫を持たないためにも、デジタルネットが重要なのです。

 また、技術革新が進む中、家電のような工業製品を新鮮な野菜なみのスピードで扱うことにより、常に最新の商品を世界各国のお客様へいち早く提供することが可能になりました。このことは、業界で家電を“生もの”と呼んでいることからも明らかです。

 さらに、仁川(インチョン) 国際空港では遅くとも12時間後には世界の主要市場に最新の製品が届くよう各地への直行便が用意されているため、最近では韓国製品だけでなく日本をはじめ東アジアで生産される製品が仁川(インチョン) 国際空港に集荷されるようになりました。
 ここからまとめて直接各市場へ空輸されることで、運賃が下がり航空便でも十分に採算が取れるからです。
 これが、仁川(インチョン) 国際空港がハブ空港として急成長している所以です。

 今や、家電のような工業製品のモノづくりは、製品寿命を考え、常に在庫ゼロを目指し、生鮮食品並みのスピードを生み出しています。
 これは、同じモノづくり屋として次世代のビジネスを進める上で注目すべきポイントではないでしょう か。


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