こんなユーザー No.120

難削材ステンレス加工に技術力を発揮する
株式会社ミヤゼット


株式会社ミヤゼットの概要

所在地〒476-0002 愛知県東海市名和町汐田西44-1
 TEL
 FAX
 Email
 URL
052-603-1007
052-603-1008
miya-z@ma.medias.ne.jp
http://www.miya-z.com
代表者代表取締役社長 宮本 篤宏 氏
設 立昭和28年
従業員10名
事業内容試作加工全般、工作機械・産業機械・自動車部品等治具部品の加工及び組付け

株式会社ミヤゼット
▲工場全景


 今回のこんなユーザーは、名鉄常滑線の名和駅より徒歩5 分にある株式会社ミヤゼットを取材しました。取材には社長の宮本篤宏氏に対応頂きました。
 名鉄で移動すると電車より同社の社名「MIYAZ」がよく見えます。「Z」の文字は2 メートルの大きさがあり、一段と目立っています。先代が昭和28 年に設立し、宮本社長は二代目となります。
 「以前は(有)宮本鉄工所との会社名でした。平成4 年に工場を現在の地に移転し、また株式会社に組替え、その時にミヤゼットと会社名に変更しました。“Z”には永遠との意味があり創業より40 年経過しこれから継続との思いを表現しています。もう一つの意味は、私を含め社員も歌手矢沢永吉のファンなのでYAZAWA のZ を使いたかった。数年前に名古屋で行われたコンサートへ社員全員で参加するほどです。経営者の一人として35 億の借金を一人で返した姿に元気付けられています」と宮本社長。


▲宮本 篤宏 社長

難削材ステンレス316Lへの挑戦

 宮本社長は工業高校卒業後、5 年間大手工作機械メーカーで働いた後に同社に入社しました。
 「入社した時は先代一人で仕事をしていたので一人用の設備しかなく途方に暮れました。  その後、汎用フライスを設備し、また縁あって山崎専務が入社し会社らしくなりました」と宮本社長。

 平成17 年の愛知万博で、大手自動車メーカーの燃料電池を積んだバスが走行しました。
 同社は、その燃料電池に使われる水素の量を調整するFC バルブの加工を担当することになりました。
 「材料がステンレス316 Lという難削材で、粘っこくて硬く、本当に加工に苦労しました。誰も加工経験がなく、試行錯誤を繰り替えして条件を見つけるしかありませんでした。要求精度は高く、穴の同芯度5 ミクロン以下等を要求され、その測定の為に3 次元測定器と形状測定器を設備しました。全てのテスト加工が終わり最終図面を頂いた時には、あまりの複雑さに驚きました。しかし、全社員で取組み展示会で使われた燃料電池バスの1/3 は当社で作られたバルブが使われました。この仕事を通じて当社の技術力が格段にアップし、また何が来ても挑戦する企業文化が育成されました」と宮本社長の言葉です。


工作機械の厳しいプロの目

 宮本社長は大手工作機械メーカーで働かれ、また工作機械関連の仕事を多数行ってきましたので工作機械については大変厳しい目を持っています。そして、設備は大手工作機械メーカーの横形マシニングセンタを多数設備されていました。
 「当社は今まで高精度な横形マシニングセンタを主体で設備してきました。FC バルブの仕事を終え、当社の技術力がアップしたので、立形マシニングセンタの導入を検討しました。知人に相談したところ、数社のメーカーを勧められましたが、高精度なマシンで定評のあったマツウラの立形マシニングセンタMold.Plus-800 を平成18 年12 月に設備しました。今アルミダイカスト金型の冷却用プレートの加工を主体で行っています。このプレートもステンレスの難削材ですが、Mold.Plus-800 で高精度・高品質に仕上がっています。この機械で間違いなかったと確信しています」と宮本社長の評価です。

カスタムパーツの製作

 同社のホームページにアクセスすると、メニューに「ワンオフパーツ」との項目があります。これをクリックすると「個人向けワンオフパーツ」の画面が表示されます。
 同社では、社員の友人から頼まれバイクのキャリアベースをアルミで製作しました。純正部品はプラスチックで振動があり、アルミで製作したところ振動がストップしたそうです。
 「この不況で社員も元気がないので、これを機会にオーナーズクラブ向けのパーツ製作を行いました。始めた時には、このようなパーツ製作はどこの会社でも行っていませんでしたが、台湾の会社が同じものをホームページで掲載して販売していました。その速さにグローバルの怖さも実感しました。遠くは姫路からお客様がバイクに乗って来られたこともあります。世の中に一つしかないオリジナルなパーツなので手間も掛かりますが、直接お客様が喜ばれる顔を見られることは工場で働く社員のモチベーションが上がります」と宮本社長。


▲Mold.Plus-800



 工場では、先代が使われていた汎用フライスが大事に保管されており、何れ宮本社長がきれいに磨き上げると言われています。
 また三代目になる息子さんが4 年間他社での修行を終え今年入社され黙々と仕事をされていました。次の継続“Z”へ向けて着実に前進しています。


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