会長 松浦 正則


【産業基盤の大変革】

 世界は、100年に一度と言われる未経験の不況に遭遇して、今も立ちすくんで呆然自失の状態が続いています。
昨年の9月15日リーマンブラザーズ倒産が、それまでくすぶっていたサブプライムローン問題が発覚し、 世界中を揺さぶって一気に大不況に突入したのです。
振返ってみれば、それ迄は社会も個人もアメリカン・ライフスタイルに憧れ、借金先行による過大な消費市場の崩壊とともに、 呼吸困難な状況に追い込まれてしまった感じです。
工作機械業界も、自動車産業と電気産業の世界戦略に同調し、昨年迄は27年間世界NO.1の生産量を誇っておりました。
その裏では、米国の過大な市場成長に疑問を持たず、全く無防備に右肩上がりの状態に酔い、生産を拡大してきたのでした。
今やグローバル市場のバランスが適量に回復するまでは、設備投資はありません。
一方自動車産業に見られる未来車は、エンジンと変速機が要らなくなると予想され、 マザーマシンの活躍する所が極端に少なくなるのは間違いありません。
この事は、全ての産業で基盤技術の変化が急速に進み、産業形態が環境・省エネ・省資源をキーワードに、 これ迄体験したものとは全く違う世界が出現するのです。
これからは各々が先見性を発揮し新分野に挑戦、人にも自然にも優しく役立つモノづくりのソリューションが求められます。

 この不況を嘆くのではなく、絶好のチャンスとして活かすことこそ、私達に与えられた使命です。


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